そばにいて ページ22
さっきまで何度も二人の吐息と共に
キシキシと小さく音を立てていたシングルベッド
今は...
僕とAさんを優しく包んでいる
僕がAさんの体に夢中でキスをしている間に
よっぽど眠かったのか
いつの間にか眠ってしまっていたAさん
僕の腕の中で
気持ち良さそうに寝息を立てている
可愛い...
今夜はたくさんAさんを愛したくて
僕だけの事を考えて
僕だけに夢中になって欲しくて
「結愛が起きるといけないから...こっち」
Aさんをここへ連れ出した
二人で眠るにはかなり窮屈なシングルベッドは
きつく抱き合っていないと落ちてしまうから
一人で眠る結愛には悪いけど
できれば朝までこうしていたい
もうこれ以上
二人の距離を近付ける事は無理なのに
「永遠にチャンミンの私でいたい」
そう言ってくれたAさんの気持ちが
二度と僕から離れていかないように
抱き締めている両腕に
更にぎゅうっと力を込めた
結局、離婚届けは渡辺さんが
僕達の事を想って仕組んだ事だと教えて貰った
Aさんが離婚を考えてるみたいだと
渡辺さんから聞かされた時の衝撃を
僕はきっと一生忘れないと思う
一瞬にして体の感覚がなくなった
何を見て、何を聞いて帰ってきたのか
ホントに何にも覚えていない
玄関のドアを開けて
Aさんと話し合うまでの記憶も
正直あやふやで
「Aさんがいないと
生きていけないんだよっ！！」
Aさんにそう叫んだのだけは
はっきり覚えている
「...ん」
無意識にきつく抱き締めすぎていたらしい
僕を抱き締めて眠るAさんから
微かに声が漏れた
それだけで僕は...
愛しさが溢れてもうどうしようもない
A...
苦しい
涙が出そうだ
今夜
「これからもずっと僕の側にいて下さい」
そうAさんに言ったけど
「A...」
ちゅっ...
僕はAさんの頭にキスを落とし
愛しい小さな体を
ぎゅうっと再び力いっぱい抱き締めた
「A...」
ずっと僕のそばに...
僕の人生の最後の一秒まで
その瞬間まで
ずっと
ずっと
そばにいて...
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作者名：ami
| 作成日時：2013年11月15日 8時
