負けたくない7 ページ15
突然の出来事に固まる私にアイツが言った
「渡辺さんから...聞いたんです。
Aさんが離婚を考えてるみたいだって...」
アイツの声も
離婚届を握りしめる手も
驚く程震えていた
「Aさん...
本気じゃ、ないですよね？」
アイツの口からあやの名前を聞いて
これはあやが仕組んだ事だと気付いた
だからもちろん本気なんかじゃない
でも、やっぱりあの夜の事は
私にとっては大した事だったみたいで
落ち着いて話し合うつもりでいたのに
「...本気だって言ったら？」
気付いたらそう口にしていた
「...Aさんっ！！」
次の瞬間、私の名前を大声で叫んだアイツが
ソファに座る私の上に覆い被さるようにして
私の身体をきつく抱き締めてきた
震えるアイツの体と息遣い
チャンミン...
堪らない気持ちになった
だけど...
今回は負けたくない
アイツに、じゃなくて
アイツを好きな自分の気持ちに
負けたくなかった
「...離してくれる？」
「イヤだ」
「お願い...離して」
「イヤだ、絶対にイヤだ！」
アイツの両腕に
ぎゅうっと力がこもる
「だって離したら...
Aさんは僕の側からいなくなっちゃうんでしょ？」
首筋にポタポタと感じる
アイツの涙
「そんなの絶対イヤだ！」
チャンミン...
「Aさんがいないと...
Aさんがいないと......」
髪の先まで震えてる
「僕は生きていけないんだよっ！！」
もう、ダメ...
アイツの心からの叫び声に
心が
身体が
どうしようもなく震えた
チャンミン...！
「うっ...、ひぃっく...」
気付くとアイツと一緒に
子供のように
声を上げて、泣いていた
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作者名：ami
| 作成日時：2013年11月15日 8時
