負けたくない5 ページ13
それから一週間が過ぎて
熱が下がったのと同時に
身体中に発疹が現れた結愛
やっぱり突発性発疹だったらしい
アイツとはあれからずっと
必要な事以外口をきいていない
寝室も別で
私と結愛はゲストルームで寝ている
「お願い...話を聞いて下さい」
何度もアイツに
泣きそうな顔でそう言われたけど
今回ばかりは負けたくなかった
勝ち負けじゃないってわかってる
だけどいつもみたいに
好きという気持ちだけで
アイツを許したくなかった
ピンポーン
その日のお昼過ぎ
インターホンが鳴った
「あっ、来た来た」
あやが結愛のお見舞いに(大げさ)
来てくれる約束だった
職場でのアイツの様子がひどいらしく
心配して電話を掛けてきてくれたあやに
アイツとの事、そして結愛の熱の事を
話してあったからだ
「いらっしゃ〜い」
「結愛〜、元気になった〜？」
玄関を開けるなり
結愛の元に駆け寄ったあや
有り難い事に
ホントに結愛を可愛がってくれてるんだよね
結愛もそんなあやになついている
「結愛のパパは
ホントにどうしようもないヤツですねぇ(笑)」
まだ顔に少しだけブツブツがある結愛を
抱き上げて
ぎゅうっと愛しそうに抱き締めているあやの姿に
胸がじんわりあったかくなる
「ふふっ、コーヒー入れたよ(笑)」
「ありがとう。まったくシムのヤツ、昨日も休憩時間になるとまるで魂が抜けたみたいにボーッとしちゃって、完全にヤバイ人！」
「...そうなんだ」
ちょっとやり過ぎかな...
「まぁ...これくらいやった方がいいんじゃない？噂のあった女性の家に無断外泊するなんてあり得ない。しかも娘が熱を出してる時に」
「...うん」
「ねー、結愛(笑)」
私の心を読んだかのようにあやはそう言って
結愛を床に座らせた
「おっ、結愛はだいぶお座りが上手になりましたね〜(笑)」
笑顔で結愛をあやしているあやが
ホントは私達を仲直りさせる為に
ここに来たなんて
そんな事、想像すらできなかった
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作者名：ami
| 作成日時：2013年11月15日 8時
