同窓会4 ページ32
ホテルの中宴会場で行われた同窓会は
立食形式だった
フロアーの真ん中に並んだ料理は
どれも美味しそうで
壁際には休憩用のイスが用意されていた
「「「「カンパーイ！！」」」」
司会者の音頭と共に
皆の声が会場中に響き渡り同窓会が始まった
早速みな達と料理を取りに行き
美味しいと評判の料理を味わっていたら
ポンポン...
突然後ろから肩を叩かれた
「竹内、コレ食ったか？」
そこにいたのは
トマトのグラタンを手にした玉木君
「うん、食べたよ」
「そっか、竹内トマト大好きだもんな」
「え...覚えてたの！」
私の好みを覚えていた事にびっくり
「忘れた事なんてないよ...」
...え
「ほらもっと食えよ」
玉木君が私のお皿にグラタンを載せた
「...ありがとう」
忘れた事ない...？
確かに耳にした呟きが気になって
何だか玉木君の顔をまっすぐ見れなかった
「竹内、付いてるぞ」
そんな私の顔に
玉木君が手を伸ばした
えっ、ちょっと待って...！
そう思った時にはもう遅くて
玉木君は私の口の端を親指で拭うと
「前もこんな事があったよな」
そう言って笑った
前にも...？
・・・あ！思い出した
お昼休みの教室
向かいの席でお弁当を食べていた玉木君が
「竹内付いてるよ」
私の口に付いていたケチャップを
拭ってくれた事があった
あの時は皆に冷やかされて
真っ赤になっていた玉木君
でも今の彼は当然そんな事はなくて
優しい笑顔を浮かべて私を見つめている
「...ねぇ、玉木君」
「なに？」
「さっき言った
忘れた事なんてないってどうゆう意味？」
私の質問に玉木君の顔から笑顔が消えた
私を見つめる、真剣な眼差し
「言葉の通りだよ」
「え...？」
「俺、ずっと後悔してた。
竹内にフラれてずっと無視してた事。
竹内が話し掛けようとしてくれてたのも気付いてたのに...だから今日竹内と会ったら自分から声を掛けようってずっと思ってた」
そうだったんだ...
「俺今彼女がいるけど、竹内は俺にとって
ずっと変わらない特別な存在」
...え
「俺が人生で初めて本気で好きになった
初恋の相手だから...」
そう言って笑った玉木君の顔は
あの頃よく一緒に笑い合った笑顔で
「そっか、ありがとう...」
何だか胸が一杯になった私は
震える声でそう返すのがやっとだった
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作者名：ami
| 作成日時：2013年10月10日 13時
