その笑顔で2 ページ28
彼の奥さんは可愛らしい感じの人だった
彼女の言動に彼は色んな表情をみせた
羨ましくて仕方なかった
彼にそんな表情をさせられるAさんが
あんなに願った彼の腕に
当たり前のように抱き締められた彼女
「シムさんて
奥さんの事が大好きなんですね...」
目の当たりにした辛い現実
だけど
想いはなくなるどころか
逆に強くなってしまった
「チャンミン...」
私もあんな風に呼んでみたい
そんな気持ちに新たに気付いてしまったから
「ん、なに？」
...ハッ！
「僕の事呼んだ？」
やだ...
知らない内に声に出しちゃったんだ
いつの間にか誰もいなくなっていて
休憩中のバックルームには私達二人だけだった
「いっいえ...
チャンミンって、可愛い名前だなって...」
すぐ隣に座っている彼に
心臓の音が聞こえてしまいそうで怖い
「そうかな？そんな事思った事ないけど
でも自分の名前は好きなんだ」
「どうしてですか？」
「Aさんが呼んでくれるから(笑)」
そう言って右目を細めて笑う彼
その笑顔で彼は私を地獄に突き落とす
でも一方で
「あれ？顔色が悪いみたいだけど大丈夫？」
「...え？あっ、大丈夫です...」
「そう？無理しないようにね(笑)」
その笑顔で私を天国へ連れていってくれる
叶わない恋だってわかってる
いつか必ず
この想いを断ち切ってみせるから
だから
この気持ちがなくなるまで
その日まで
その笑顔で私を幸せにして欲しい
大好きな
その笑顔で
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作者名：ami
| 作成日時：2013年10月10日 13時
