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その笑顔で1 ページ27
これまでの私は
恋愛で辛い想いなんてした事がなかった
好きになった人とは必ず両思い
別れる時もいつも私から
そんな私が叶わない恋をしてるのは
あの人に出会ってしまったから
大学を卒業し入社したホテルで
私が配属されたのはフロントサービス課
そこにあの人がいた
「伊藤さん？よろしくね。
ドアマンのシムです(笑)」
彼が笑顔で私に挨拶をしてくれた時には
もう好きになっていた
右目を細めて笑った顔に
一目惚れしてしまったから
だけど、今まで一目惚れの経験などなかったから
これが恋なんだと気付くのに
しばらく時間が掛かってしまった
でも、気付かない方が
幸せだったのかもしれない
だって彼は結婚しているから
ダメだとわかっているのに
想いが通じる事はないとわかっているのに
時間があると私はある場所に出掛けてしまう
モデルをしていた彼が載ってる雑誌を
探す為に
この、彼の澄んだ瞳に見つめられたら
どんなに幸せだろう
この、彼の逞しい胸に頬を埋める事ができたら
どんなに...
現実を見れば
彼への想いが断ち切れるんじゃないかと思い
フロントサービス課の先輩達と一緒に
彼の家に生まれた赤ちゃんを見に行った
可愛かった
大きな瞳が彼にそっくりで
私が抱っこしたら嬉しそうに笑ってくれた
側に寄り添ってくれる彼を見て
この子が私の子だったらいいのにって
馬鹿みたいな事を本気で考えた
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作者名：ami
| 作成日時：2013年10月10日 13時
