愛してるだけじゃもうたりない ページ36
「A...大丈夫？」
「あっ...チャンミン、ありがとう」
仕事中、何度も視線を交わした私達は
まるで何かに
追い立てられるかのように家へ向かい
雪崩れ込んだソファの上で愛を囁き合った
「寒くない？」
ソファにうつ伏せになっている私を
シーツで優しく包んでくれるアイツ
「うん...チャンミンも入って？」
「うん！」
私の言葉に、心底嬉そうに笑ったアイツは
滑り込んだシーツの中
向かい合って私を抱き締めた
二人で寝るとちょっと窮屈なソファ
いつもより近い二人の距離
「あったかい...」
...ちゅっ
「あったかいね...」
アイツが私のおでこに優しくキスをした
「Aさん」
「なに？」
「今寝室にシーツを取りに行ったら
玄関からここまで僕達の服で道ができてたよ？」
そっか...
とにかく早く愛し合いたくて夢中だったから
「ふふっ(笑)」
嬉そうに笑っているアイツの腰を
ぎゅうっと抱き締めた
ぎゅうっ...
すかさず私の腰を抱き締め返す腕
「「...ふふ(笑)」」
おでこを重ねて笑い合った
「ねぇチャンミン...ありがとね」
「何がですか？」
「さっきの話」
「三崎さんから聞いた事？」
「そうだよ？本当に嬉しかった。
だからありがとね、チャンミン」
アイツが少しだけ体を離し
優しい瞳で見つめてきた
「A...」
「ん？」
「さっきも言ったけど、当たり前の事をしただけだよ？Aを傷つけるヤツは例え誰であっても許さない。この先も同じ様な事があればその度に何度だって同じ事をするよ？」
チャンミン...
「Aは誰よりも大切な人だから」
「うん、ありがとう...」
「泣かないでA...
泣かせたくて言った訳じゃない」
アイツが、自分も泣きそうになりながら
零れる涙を拭ってくれた
オレンジ色の教室で
初めてアイツがそう言ってから
二人で、二人だけの
色んな時間を重ねてきた
笑い声を重ねた日も
目が真っ赤になる程泣いた夜も
数えきれない程の幸せな瞬間も
どれもチャンミン
あなたとだからできたこと
ねぇチャンミン...
もう私は......
「ねぇA...
愛してるだけじゃもう足りないね」
「・・・・」
「もう、足りないよっ...」
チャンミン...
止まらない涙で苦しくて
何も言えない
私も同じ気持ちだと
ちゃんとあなたに伝えたいのに
「A...」
言葉の代わりに
零れるアイツの涙を
何度も優しく、拭ってあげた
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作者名：ami
| 作成日時：2013年9月10日 11時
