同じ女として ページ34
「30番どうぞ」
チーフに呼ばれ
少し早めのお昼休憩を貰った
早くアイツに謝りたくて落ち着かない私は
素早く昼食を済ませ
身支度を整える為更衣室へ入った
歯を磨く為に向かった洗面所
「あっ、竹内さん...」
そこに三崎さんがいた
「...お疲れ様です」
三崎さんと社内でこうやって鉢合わせするのは
あの社食以来
何となく気まずさを感じながら
歯を磨こうとしたら
「竹内さん...
私ずっとあなたに謝りたいと思ってたの」
突然三崎さんに声を掛けられた
謝りたい？
何をだろう...
歯ブラシを持ったまま三崎さんの方を向く
「私の同僚があなたにひどい事を言ったみたいで...ごめんなさい」
わざわざ謝ってくるなんて
三崎さんは「ただ綺麗な人」だけじゃない
すごく素敵な人
「いいえ、もう気にしてませんし...
それに彼女達も三崎さんの為を思ってやった事ですよね」
三崎さんは少し困ったような顔で微笑み
話を続けた
「そうだけど...
言っていい事と悪い事ってあるでしょう？」
確かに
「だけど私も...悪い事だとは思いつつ
私の為を思ってやった彼女達に何も言う事ができなかったの」
そうだったんだ
「そしたら次の日
シム君が来て彼女達に言ったの」
...え？
アイツが？何を？
「僕の事は何を言おうが構わないけど
僕の奥さんを傷付けるような事をするのは許せないって」
え...
「今回は自分も皆に勘違いさせるようなところがあったからこれ以上何も言わないけど、もしまた僕の奥さんを傷付けるような事をしたら絶対にあなた達を許しませんって...」
「・・・・」
「そう言われた後、彼女達、最初は文句言って怒ってだけど、その内あんなに想って貰えたら幸せだよね...そう言ってた。私もそう思う」
三崎さん...
「同じ女として、心からあなたが羨ましいわ。
シム君とお幸せに(笑)」
言い終わると三崎さんは
綺麗な微笑みを浮かべて更衣室を出ていった
チャンミン...
アイツが私の為に
そんな事をしてくれていたなんて
思いもしなかった
"同じ女として羨ましい"
ごめんね
チャンミン...
それから
ありがとう
私は涙で落ちてしまったメイクを丁寧に直して
アイツのいるフロントサービス課に
逸る気持ちを抑えて戻っていった
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作者名：ami
| 作成日時：2013年9月10日 11時
