新婚旅行15 ページ15
「カエシテください」
彼は私の頭に手を伸ばし
スッ...
勝手につけた花を抜き取って言った
「アナタキレイじゃない...ブスですね」
は？ブス？
募金を断られた相手にブスだと言った彼
あり得ない...
やっぱり詐欺だったと思いつつ
信じられない彼の態度に呆気に取られていると
アイツがお財布からお金を出し
「僕の奥さんがブスなら
アナタの彼女はドブスですね」
そう言ってリストの上にお金を叩きつけた
ダンッ！
えっ！？チャンミン？
思いもよらないアイツの行動に
胸がドキドキした
言い返さないと思っていた日本人が言い返して
ビックリしたのか
アイツの行動に呆然とする彼に
アイツは手を差し出した
「はい！」
何してるの...？
「・・・？」
「ステッカー
募金したらくれるんでしょ？」
「...アッ」
慌ててステッカーを取り出した彼の手から
奪うようにそれを手にしたアイツは
「どうも(笑)」
にっこり笑って
「行こ？」
小降りになった雨の中を
私の手を引いて歩き出した
しばらく無言で歩いていたアイツは
ゴミ箱を見つけると
手にしていたステッカーを
グシャグシャに握り潰し勢いよく投げ捨てた
そんなアイツが少しだけ怖くて
繋いでいた手をぎゅっと握り締めた
ハッ...！
その瞬間、我に返った様子のアイツ
「ごめんなさい、僕抑えられなくて...。
Aさんにひどい事を言う彼が許せなくて...怖い思いさせちゃいましたね。
しかも一歩間違えれば危険な目に遭わせたかもしれないのに...」
そう言って落ち込んでしまった
チャンミン...
確かにちょっと怖かったけど
私は繋いだ手を引き寄せて
「言い返してくれて嬉しかった...」
ちゅっ...
アイツのほっぺにお礼のキスをした
「Aさん...」
あっ...
「見て！チャンミン(笑)」
「えっ...」
アイツと二人
手を繋いで一緒に見上げた空には
キレイな虹が掛かってた
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作者名：ami
| 作成日時：2013年9月10日 11時
