思わずにはいられない ページ4
「結、婚...？」
ちょうどお茶を持ってきた私の横で
アイツが低い声で呟いた
・・・ヤバイ
確かにそんな事を言った記憶が
幸哉に言われて思い出した
でも小学校上がる前くらいの話じゃなかった？
昔は近所に住んでいた幸哉と
お互い一人っ子でいとこ同士という事もあって
毎日のように一緒に遊んでいた
そんな中二人でよく言ってた言葉
「な〜んてな(笑)」
幸哉がイタズラっぽく笑いながら振り返った
イヤイヤ
「な〜んてな(笑)」じゃないでしょ
アイツの顔を見てみなさいよ！
目を見開いたまま固まっちゃってるじゃん
「チャンミン...昔の話だよ？」
「えっ？あぁ...」
我に返った様子
「よくあるヤツですよね？
小さい頃...結婚の意味もわかってなくて、そう言うの」
ホントは意味を知ってて言ったんだけど
アイツがすがるような目で見つめてきたから
「そうそう・・・」
よくあるヤツって言おうとしたのに
「俺は本気だったよ」
幸哉が被せるように口したから
続ける事ができなかった
「だって俺の初恋だったから」
まだ言うか！
「ちなみに俺のファーストキスも
Aだったよ？(笑)」
「「ファーストキス！？」」
そんなの知らない！
バッ...！
勢いよく私を見たアイツに
ブンブン！思いきり首を横に振った
「Aは知らないよ。
だってAが寝てる時にしたんだから」
なるほど...それでか
・・・じゃなくてアイツは？
あっ、固まっちゃってる
「よく一緒に寝たよな〜」
ビクッ！！
「あっ、一緒にお風呂も入ったっけ！(笑)」
ビクッ！！
幸哉の言葉に
いちいち大きく揺れるアイツの体
「幸哉！」
シーン...
思わず上げた大声に静まり返る部屋
・・・気まずい
「お茶...いれたよ」
「あぁ...ありがとう」
アイツはなで肩をさらに落とし
項垂れてしまった
あ〜もう！
幸哉が余計な事言うから！
「いただきま〜す」
そんな事気にも留めない幸哉が
イスに座ってお茶に手を伸ばした時
「Aさん...
僕明日早いんでもう寝ますね」
アイツは弱々しくそう言って
寝室に消えていった
「はぁ...」
「A、俺何も食べずに来たんだ。
お腹空いちゃった...何か作ってよ」
大きなため息をつく私の前で
一人あっけらかんとした様子の幸哉
早く出て行って貰おう
数年ぶりに再会してまだ10分も経ってないのに
そう思わずにはいられなかった
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作者名：ami
| 作成日時：2013年8月7日 12時
