忘れたくないのは... ページ24
「Aさん...
レイとの事をあんな風に伝えた僕を、本当に許してくれてますか？ 本当はちゃんと話すつもりだったのに、幸哉君に嫉妬してあんな言い方をしてしまって...本当にごめんなさい」
「大丈夫、わかってるから...」
「ありがとう、Aさん...」
だけど...
「ねぇチャンミン
城ヶ崎先生の事はやっぱり忘れられないの？」
「レイの事は本気で好きだったから...
正直に言うと多分この先も忘れる事はないと思います」
「そっか...」
やっぱり少し胸が痛むけど
「でもいいよ、忘れなくても。
だってよく考えたら思い出もチャンミンの一部だもんね」
私の言葉にアイツは小さく微笑んだ
「だけどこの先レイとの思い出を忘れる事はなくても、忘れたくないわけじゃない。
僕がこの先もずっと忘れたくないのは...」
繋いでるアイツの両手に力が籠った
「Aさんと一緒に過ごす時間です。
Aさんとの思い出は一分一秒だって忘れたくありません。この前記憶を失った時みたいに...Aさんとの事を忘れるなんて...絶対っ...」
アイツが力一杯私を抱き締めてきた
チャンミン...
「私だってチャンミンとの思い出は
どんな小さな事だって忘れたくないよ...？」
「A...」
「チャンミン...話してくれてありがとう」
「どうして？...僕が悪いのに。
A...いつも泣かせてばかりで、ごめんね？」
「私の方こそひどい事言ってごめんなさい。
チャンミン、大好きだよ」
「僕も、大好き...」
抱き締めていた腕が緩み
体を離すと見えるのは
切なそうに眉毛を下げて私を見つめる
アイツの顔
「A...」
囁くように優しく私を呼ぶその声に
ゆっくり目を閉じた
...だけど
なかなか重ならない唇
どうして...？
不安になって目を開けようとしたその時
「可愛い...」
睫毛を、そっとなぞる感触
ドクン...！
微かに触れる指先に
堪らなくドキドキした
「A...」
私の名前を呼びながら
ゆっくり...
おでこから鼻をなぞり唇に触れるアイツの指
「A...」
そのまま流れるように顎を掬われて
次の瞬間
「愛してる...」
そっと唇が重なった
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作者名：ami
| 作成日時：2013年8月7日 12時
