後ろ姿 ページ12
明け方、浅い眠りから目覚めた私は
私の腰を抱き締めるアイツの腕をそっと解き
ベッドを抜け出した
そのまま向かったキッチンで水を飲んでいると
ガチャ...
ゲストルームのドアが開き
幸哉が顔を覗かせた
「あ、A...」
「どうしたの？まだ5時前だよ？」
「なんか、眠れなくて...」
私と幸哉は二人並んでソファに座り
何を話すでもなく
徐々に明るくなっていく空をただ眺めていた
「ねぇ、A...」
「なに？」
「ちょっとでいいから俺の事...抱き締めてくれない？」
思いもよらない言葉にビックリして
勢いよく幸哉の方を見た
私を見つめる
今にも泣きそうな幸哉の顔
「え...」
でも次の瞬間
私は幸哉に抱き締められていた
「ちょっ、ちょっと...」
慌てて体を離そうとしたけど
私を抱き締める幸哉の体は小さく震えていて
もしかして泣いてるの...？
「幸哉...？」
こんな幸哉は初めてで
小さい頃から幸哉の泣き顔なんて
一度も見た事なくて
気付いたら
私の肩に顔を埋めている幸哉の頭を撫でていた
「...ッ」
私を抱き締めながら
何度も何度も同じ事を繰り返し呟く幸哉
その声はあまりに小さくて
何て言っているのかわからなかった
「ごめん、A...」
しばらくしてようやく体を離した幸哉は
小さくエクボを作って微笑み
「もう少し寝るわ...」
ゲストルームへ戻って行った
「幸哉...」
寂しそうな幸哉の後ろ姿から
目が離せなかった
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作者名：ami
| 作成日時：2013年8月7日 12時
