降ってわいた話 ページ1
「はぁ...」
チラッ...
「はぁ...」
ダイニングに座り
夕飯の餃子を、小皿の上で
タレでべちょべちょにしながら
ため息をつくアイツ
チラッ...
一瞬上目遣いに私の顔を見ては
タレの付けすぎで
すっかり色の変わってしまった餃子に視線を戻し
「はぁ...」
わざとらしい程のため息をつく
これをさっきから
もう10回程繰り返している
チラッ...
「はぁ...」
まただ...
「ねぇ、チャンミン
同居するって言っても何ヵ月も続く訳じゃないんだし、新しいアパートに入るまでのほんの数週間なんだ・・・」
「ほんの...？」
餃子を弄るアイツの手が止まった
「Aさん
今...ほんのって言いました？」
「言ったよ？」
「僕とAさんの貴重な新婚生活が犠牲になるのに...ほんのじゃないです！」
犠牲になるって...
あ〜ぁ、完全に拗ねちゃった
口尖ってるし
はぁ...
どうするか
こうなる事は覚悟してたけど...
9月に入ってドアマンに配属されたアイツ
勤務が日勤に変わり
家で一緒に過ごす時間が増えたと
毎日ご機嫌のアイツを
「いってらっしゃっい(笑)」
ちゅっ...
「いってきます！(笑)」
今日も笑顔で見送って
洗い物をしようとキッチンに向かった時
RRRRR...
家の電話が鳴った
「はい、シムです」
「あっ、A？」
電話の相手は私の母だった
昔から放任主義の母が珍しく電話なんて
何事かと思ったら
「A...
ちょっと頼みたい事があるんだけど」
「なに？」
「幸哉君をしばらくそこに置いてほしいんだけど...」
なんと、いとこの同居のお願いだった
いとこの幸哉は私の2つ年下の大学3年生
親元を離れ、この近くのアパートで
独り暮らしをしていたんだけど
最近そのアパートが水漏れ騒ぎを起こし
住めなくなってしまったらしい
しばらくは実家から
新幹線を使って通っていたんだけど
さすがに大変だったみたいで
新しいアパートが見つかるまでの間
私達の家から大学へ通わせて欲しいと
母に頼んで来たらしい
最近はアイツとの噂も収まりつつあって(ゴーイングマイウェイなアイツに噂する気も失せたと思われる)
穏やかな日々を過ごせるかと思っていたところへ
降ってわいた、突然の同居話だった
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 498人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「東方神起」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ami
| 作成日時：2013年8月7日 12時
