結婚式1 ページ36
その後親族紹介を簡単に済ませ
「お時間になりましたのでご準備お願い致します」
ついに結婚式が始まった
チャペルの扉の前で
「・・・・」
やっぱり...
アイツは先程と同様
うっとりした顔で私を見つめていた
「新郎様、ご入場下さい」
でも、係りの人から声を掛けられると
私の父にしっかり頭を下げてから
一人チャペルへと入場していった
いよいよ始まるんだ...
「お父さん、緊張してる？」
「...少しな」
「そうだよね、私も...ふふっ(笑)」
「お待たせ致しました」
係りの人の声と共に扉が開かれた
解放感たっぷりのチャペルに響く
パイプオルガンの厳かで温かい音色
幸せな緊張感の中
父と二人、ゆっくりバージンロードを進んだ
この日の為に足を運んでくれた
皆の笑顔に包まれながら
一歩一歩、アイツの元へと進んでいく
キラキラ光る海が綺麗で...
抜けるような青空が綺麗で...
その中で佇むアイツが
眩しいくらい綺麗だった
漆黒のタキシードに身を包んだアイツは
さっき感じた不安が嘘のように
凛とした瞳で私の事を見つめている
真っ直ぐに私だけを見つめるアイツの瞳
胸がいっぱいだった
「チャンミン君、Aを...よろしく」
少しだけ震えた父の声
昨夜私が泣きながら挨拶した時の父を思い出した
眼鏡の奥の瞳が
真っ赤だった
そんな父の想いを受け止めるように
「はい！」
力強く返事をしたアイツは
再び私の方を向いて、ふわっと微笑んだ
その優しい眼差しに
涙が零れてしまいそうだった
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作者名：ami
| 作成日時：2013年8月7日 12時
