やっぱりね... ページ20
久しぶりに訪れた店なのに
味も、雰囲気も、そして会話でさえも
楽しむ事ができないまま時間だけが過ぎて
「A、シムとちゃんと話しなよ？」
「うん、今日はお礼のつもりで誘ったのに
ごめんね...」
「じゃあ、また誘ってよ(笑)」
私を元気づけるように優しく笑ったあやと別れ
家に帰った
玄関のドアを開けると
まだ誰も帰ってなくて家の中は真っ暗だった
「...ただいま」
いつものようにそう言って
リビングのソファに腰を下ろす
「チャンミン...」
アイツに限ってそんな事はない
そう思いながらも
昨日はアイツも怒っていたし
もしかして...
アイツを信じきれない自分がいた
何より不安だった
アイツの言った本心が
「忘れた事ない、か...」
RRRRR...
その時、電話が鳴った
アイツのケータイの着信音だった
「ケータイがないんです、家に忘れてきたのかな」
仕事中アイツがそう言っていたのを思い出した
RRRRR...
ソファの下から聞こえる着信音
きっと昨夜、ここで寝てる時に落としたんだ
「どこだろう...」
ソファの下に手を伸ばしてケータイを探した
RRRRR...
「あった...」
手にしたケータイを確認して
「・・・・」
思わずその場に座り込んでしまった
RRRRR...
鳴り続けるケータイの画面には
レイ
アイツの忘れられない人の名前
あやが見たのは城ヶ崎先生だったんだ
「やっぱりね...ふふっ(笑)」
私の不安は
悲しいけれど当たっていて
どうして？
「チャンミン...」
心のどこかでずっと予想していた展開に
涙さえ、出てこなかった
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作者名：ami
| 作成日時：2013年8月7日 12時
