緑。 ページ31
あべー
一言映し出された画面、
なんか嫌な予感がする午前0時半。
どした
いまどこ？
なんて、探りを入れるような聞き方。
だったら俺が先制攻撃。
Aこそいまどこ
〇〇っていうお店
すぐ行く
そこから通知が一回鳴ったけど
見ないまま外に出る準備をして家を出た。
「A」
「あべ」
お店の前、植え込みのとこに座る姿。
腕を掴んで立たせると、ありがとうとふにゃりと笑う。
「なにしてんの、飲み過ぎだろ」
「んー…、なんか飲みたい気分だったんだよね」
シートベルトをして、車を走らせれば
終始ご機嫌なAは鼻歌なんかうたって。
「あんなとこ座り込んで危機感なさすぎ」
「えへへ、ごめんね」
「ごめんじゃないよ、ほんとに」
ちゃんと怒ってる、ちゃんと怒ってるのに
Aには全く通じない。
反省の色も見えないもんだから
こっちがイライラしちゃって。
「飲むなとは言ってない、
でもいい年なんだから考えて飲むのが当たり前だろ。
帰れない、タクシー乗れない、迎えに来てって、
大人のやることじゃないから」
「…ごめん、次からは気をつける」
「それももう何回目？毎回同じこと言われて、
次からはってお前に次なんてこないじゃん」
「、」
「いつもどんな飲み方してんのか知らないけどさ、
よくそんなんでいままで何もなかったのかが
不思議でたまんないよ」
「…そこまで言わなくても」
「言われたくないんだったらやればいいだろ、
ほんとにいい加減にして」
シンと静まった車内、
言いすぎたかもしれないけど間違ったことは言ってない。
居心地の悪い空間で俺の大きなため息と
Aが鼻をすする音が鳴ったのは同時だった。
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作者名：ぽんこ | 作成日時：2022年11月19日 22時
