赤。 ページ14
Aがイライラしてる、それはもう見て分かるくらい。
ていうかうんうん唸ってるし。
「A」
「りょうたくん、」
「イライラしてんね」
「うん、イライラしてる」
手に持たれた知恵の輪。
ラウールからどうせできないでしょって
軽くあしらわれて、ムキになってとりあげること早30分。
最初こそ付き合ってたラウールも、
飽きちゃったのか違うことしてるのに。
どうしても解きたいAはずっとカチャカチャやってる。
イライラしながらw
「阿部も言ってたでしょ、力はいらないんだって」
「わかってるよ、でもどうしたって外れないか、ら！」
手の中でぐちゃぐちゃってして、また開いて。
持たれた知恵の輪にふざけてんの？って話しかける始末。
「はーおもろ」
「む、りょうたくんもできないもんね、絶っ対！」
「そだね、できなくていいよそんなの」
「わーそれでいいの？仮にもロイヤルで通ってる
りょうたくんが知恵の輪一つできないとか」
ダメだよ、そんな挑発には絶対乗るな。
「だっさぁ」
「…貸して」
分かってたのに、ふふんと笑うAに
しょうがなく付き合ってあげてると言い訳して。
「力いれちゃだめなんだよぉ？」
「分かってるから黙ってて」
こうなれば少なくともAよりは早く解きたい。
ていうか解ければもうそれは俺の勝ちだから。
「…ん、む、こんちくしょ、」
「ひひ、ムキになって」
「うるさい」
「んひひ、」
一生懸命解こうともイライラは募るばかりで。
「もうこんなのいらない」
「あ、」
「いてー！」
ポンと投げた知恵の輪は鋭い角度で照の頭にぶつかった。
黄「A！」
「え！わたしじゃない！」
黄「舘さんが投げるわけねーじゃん」
「でもりょうたくんが！」
黄「イライラすんならやめろって言ったろ」
「えー…」
黄「もうこれ没収」
勝手に勘違いしてくれた照が
俺の代わりにその怒りをAにぶつけてくれたから。
「ざまーみろ」
「…くそロイヤル」
「ひかるー！Aがクソって言ってる！」
「ちが！ひかるじゃなくて！
もう、りょうたくん！っいたー！」
げんこつ貰った頭を押さえて涙目で睨むAに、
もう一度ざまーみろって言ってやった。
(ラウ！りょうたくんがいじめる！！)
(なわけないじゃん、Aちゃん嘘ついちゃだめ)
(〜…りょうたくんのばか！)
(A！八つ当たりすんなって！)
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作者名：ぽんこ | 作成日時：2022年11月19日 22時
