�� ページ12
徐々に風が冷たくなって来ている、そんな11月のある日のこと。
今の接客で今日のシフトは終わり。カフェラテ買って帰ろうっと。
「ねえ、高松さん。」
「あ、店長。なんですか？」
「店の外にいるあの子。高松さんが気になるって言ってた子じゃない？」
そう言われて外を見つめると、マフラーを巻いた国見くんがいた。
国見くんはどこか一点をぼーっと眺めており、何か意味ありげだった。
どうしたんだろ。
そう思うより前に私の足は彼の方へ動いていた。
片手にはカフェラテを。もう片手には微糖のコーヒーを持った。国見くんがよく飲んでたコーヒー。すぐに買った。
「ねえ、大丈夫？よかったら、話、聞くよ。」
コーヒーを差し出しながら国見くんに話しかける。
そういえば、国見くんに話しかけるのは今回が初めてだった。多分、声が裏返った。
そして、もう後の祭りだが、急に不安になる。
よくいく店とは言えど知らない女の人から国見くんは声をかけられたのだ。不審者と思われても仕方がない。
通報されるかもと思っていたが、国見くんは、
「ありがとうございます。お願いします。」
と言った。
…正直戸惑った。
ーー国見くんが返答してから、少しの間あたりは静寂に包まれた。
私はちびちびと自分のカフェラテを飲む。
国見くんは私が渡した缶をじっと見つめていた。
「…実は、今日練習試合で負けたんです。」
国見くんはぽつりと話し始めた。
練習試合で負けたこと。あまり思ったような活躍が自分にできなかったこと…。
何も言えなかった。
私自身、そんなにバレーは上手くはなかった。唇を噛みしめたことは数しれずあった。
そんな経験をたくさんしていても、国見くんに何を言うのが正解かわからなかった。故に何も言えなかった。
ただ、相槌を打つだけだった。
「ありがとうございます。」
国見くんはそんな私の相槌に対してぽつりと呟き、缶コーヒーに手をかける。
そして一口飲み、にがっ。と言った。
「あれ？国見くん、いつもそれ飲んでたから、大丈夫だと思ってたんだけど…ちがった？」
口ではそう言いつつ、そんなはずないと思っていた。
「とりあえず、はい。」
お互いの飲み物を交換した。
「すみません。コーヒー飲んでたのにも理由があって…。
話せば長いんですけど。聞いてくれませんか？」
国見くんはまっすぐこちらの目を見て言った。
…こんな時に失礼かもしれないが、綺麗な瞳だと思った。
なんとなく声が出なくて首を縦に動かした。
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せみ｡(プロフ) - たまごちゃんさん» 読んでくださりありがとうございます！これからもがんばります！ (2020年11月5日 13時) (
レス) id: 4768360623 (このIDを非表示/違反報告)
たまごちゃん - 国見くんの日常っぽい！オムニバス(?)楽しみにしてます(*≧∀≦*) (2020年11月4日 20時) (レス) id: 901e8bcfe8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：せみ｡ | 作成日時：2020年11月3日 0時
