グラサンが46 ページ6
国木田視点
『いやぁ、実を言うとね』
Aは手を後頭部に当てながら申し訳なさそうに言った。
『先日から携帯の充電器が家出しちゃってて…案の定ついさっき充電なくなってさ、今谷崎くんに充電器借りたから充電がある程度たまるまでちょっと待ってくれるなら一緒に行こ』
充電がある程度たまる迄椅子に座って回転しているつもりだったのか…?
確かに携帯が使えんとなると会議が終わった後に待ち合わせが出来ないだろう。ここはAを信じて先に行くしかないか。
「わかった、俺は先に行くが絶対遅刻するなよ、絶対だぞ。」
そして踵を返してAの元から離れた。Aと同じように、否、それ以上に強く釘を刺しておかないといけない相手が居る。
社の扉の前まで歩みを進め、大きく息を吸う。
「そして太宰!!今日は絶対に俺の予定を乱すなよ!」
太宰はヨシ来たと言わんばかりの笑顔を一瞬見せ、目を細めて口角をキュッと上げて言った。
「勿論、この命に変えても」
「お前絶対邪魔する気だろう」
もういい、社を出て仕舞えばこっちのものだ。どうせ俺が電車に乗っている頃にはそこらで川に遊んでもらっているだろう。
___
電車のホームは相変わらず騒がしい。ホームで電車を待っていると太宰の唐変木から電話がかかってきた。
嫌な予感がし、出たくない衝動に駆られながらも電話に出て携帯を耳にあてる。
すると電話越しでもわかる軽快な声で「国木田くんにお客さんだ。国木田くんの手帳を造っている職人さん。」
自分でもパァッと顔が明るくなるのがわかった。
その時アナウンスがなった「電車が参ります」そんな短い言葉でも笑顔をかき消すには十分だった。
俺は後ろ髪を引かれる思いで電話をきり電車に乗り込んだ。扉が閉まるまでぼんやりホームを眺めていたらある光景が目に入った。
黒のパーカーにフードを被った細身の男が少女に旅行鞄を手渡している。
少女は弾む声で男に確認をした。
「これを車掌室に持っていけばええの?ええよ!任せとき!」
そんな時谷崎の台詞が頭を横切った。真逆__そう思うと同時に電車を飛び出し少女の元へ駆けた。少女の持っている鞄を剥ぎ取り走りながら鞄を開け、中を確認する。中には爆弾が幾つか入っていた。地下から出るためにエスカレーターを駆け上り、地上に脚が着いたと同時に空に向かってすでに動き出している爆弾いり鞄を力一杯投げた。
鞄が宙を舞い、第二の太陽のように小さな光を放って爆発をした。
54人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
三原色 - 。さん» なななんと!ありがとうございます!これからも何となくで頑張って参りますので何卒…生暖かい目でよろしくお願い致します! (7月1日 17時) (レス) @page10 id: 3ea33a02c4 (このIDを非表示/違反報告)
。 - とっても面白いですね!応援してます (7月1日 11時) (レス) @page10 id: 26c600857a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:三原色 | 作成日時:2023年5月31日 21時