グラサンが32 ページ39
志賀視点
机に向かって仕事をしているふりをしていると国木田が鏡を見た後に屋上に向かった。
仕事するふりより仕事をした方が効率が良いことに気がついたのはまた後のお話。
屋上に繋がる階段から2人の足音が聞こえたかと思い、事務所のドアを開けるといつも以上に眉間に皺を寄せた険しい顔の国木田と無性に腹の立つ顔をした太宰が帰ってきた。
そして太宰が国木田の椅子を広い場所に移動させ、国木田に座る様に促した。
仕事をしろといつも怒鳴る国木田は大人しく座った。
「Aくん、鎖持ってきて」
鎖…鎖なんてどこにあるんだ…?
『鎖って金属の臭いが強いからあんまり好きじゃない。』
「私はいい匂いだろう?」
『変な匂いがする。特に入水した後とか。』
僕と太宰は近くの机に頬杖をついて、椅子に座った後、鎖をぐるぐるに巻き付けられた国木田を観察する。
太宰は先刻まで子供の様にそこらかしこを“何故か”走り回っていたため車の排気ガスや煙草の煙、人々とすれ違った臭いがほんのりと漂っている。
さて、何故国木田が拘束されているかというと…
皆んなもう知っているであろうパートマフィアの座敷牢から解き放たれた精神操作の異能力者夢野久作、通常Qが組合に捕まったらしい。最悪な事に組合のジャガイモの人の異能力と相性が最高なんだ。
Qを傷つけた人物には手形のアザが浮かび上がる。そしてQのいつも持ち歩いている人形を壊したら横浜の人の殆どが呪いに掛かる。
で、沢山の犠牲者と政治的にも打撃を受ける。
とかいう最低な計画を組合は実行した。
国木田も犠牲者の1人という訳だ。
「始まったぞ」
国木田の目から血の様に赤い液体が垂れてくる。
そして何か幻覚幻聴が語りかけてくるのか国木田が震えている。
こんな異能は太宰が居なかったら誰も止められない。世界にはこういう精神操作の異能力者が少なからずいるのだから驚きだ。
『国木田大丈夫なの、これ』
「縛り付けてあるから害はないよ」
『違う、国木田のメンタル面だよ』
「さぁね、それは国木田君次第だ」
太宰は「よいしょ」と立ち上がるといつもの砂色コートを持ち社の扉を開けた。
『どこ行くの、お外危ないよ』
太宰はこっちを向き、満面の笑みで答えた。
「Aくんが守ってくれたら安心だね」
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三原色 - あぁあ!@眠る猫 さん誤字報告ありがとうございますうぅ!お返事遅くなってしまい申し訳ありません。エリスちゃんの名前間違えるとか森さんに殺られる…アノ、私の返信の仕方絶対間違えてると思うのですがお手柔らかに…これからもこの小説を宜しくお願いします💪 (2023年2月20日 20時) (レス) id: 13a7bfbe40 (このIDを非表示/違反報告)
眠る猫 - 22話のエリスちゃんの名前がアリスちゃんになっています,,,あ、な、なんか私なんかがすいません!!楽しんで読ませてもらってます!! (2023年2月16日 19時) (レス) @page27 id: cd1a79a794 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:三原色 | 作成日時:2022年12月4日 17時