グラサンが31 ページ38
中島視点
組合の団長は何故か力をお金で例えた。何故なのか。そんな疑問が頭にふと浮かんだと同時に考える間もなく、僕の鳩尾に見えない程の蹴りが入った。
口から赤い液体がツゥっと垂れる。
後ろに飛ばされ、腹を抱えてうずくまった僕にソイツは悠々と近づいて僕の後ろの髪を乱雑に掴み、目線を合わせた。
「だが、我々が君にかけた懸賞金は70億だ。その程度の実力じゃ買えんな。」
70億の懸賞金、何故僕なんだ。僕にそんな価値があるのか…?
「さあ、一緒に来てもらおうか。」
ソイツは口を横に伸ばし、ニヤリと笑う。
嗚呼、また、まただ。僕はまた探偵社のみんなに___
「待って」
橋がみしりと木の音を立てる。
顔を上げる。そこにはあの時と同じ姿の鏡花ちゃんが居た。
川からの風によって長い髪が揺れている。
「私の名前は泉鏡花。探偵社員。宜しく」
可愛らしく首を傾げたかと思うと、両足で素早く前進し、いつの間にか抜いていた短刀を組合の団長の頸目掛けて横に振った。
ギリギリで体をのけぞらせたが頸の表面に赤い線が一筋刻まれる。
ソイツはそのまま後退した。
鏡花ちゃんはその隙を見て僕の袖を掴み、川に飛び降りた。
流石にこのまま泳ぐのは無理があり、心臓が飛び跳ねた。下には小型船がタイミング良く通っていたのでそこに着地をした。
そのまま港の方に行くと警察官が2人居た。鏡花ちゃんが事前に呼んだそうだ。
「助けてください」
そう云おうとした時、警部に無線が入った。
そして此方を向き、聞いた。
「お嬢ちゃん、年齢は?」
鏡花ちゃんは警部の肩を短刀で切った。
彼の人の傷は深い様だ。
鏡花ちゃんは方向を変え、若い警官に飛びかかる。彼女の腕を掴み、寸前で止める。
謝っても済まされない事態に思わず鏡花ちゃんの手を引き、逃げ出す。コンクリートで整備された道をひたすら走る。
「おめでとう。走り回って健康になれたな」
組合の団長、そして白い口髭を生やした男性が目の前に現れる。
「くっ…」
虎の力を借り、なんとか対応しようと試みるが何かが頭に当たり、思わず横に吹き飛ばされる。あまりの激痛に声が出せない。そして身体が動かない。
鏡花ちゃんは短刀を素早く抜くがまた“何か”が彼女の手に当たり短刀が粉々に砕ける。
白髭の男性が手を掲げると海から大きな生命力のある、それであって機械の様な白鯨が出てきた。
僕は組合の団長に首を掴まれ連れ、白鯨の中に連れていかれた。
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三原色 - あぁあ!@眠る猫 さん誤字報告ありがとうございますうぅ!お返事遅くなってしまい申し訳ありません。エリスちゃんの名前間違えるとか森さんに殺られる…アノ、私の返信の仕方絶対間違えてると思うのですがお手柔らかに…これからもこの小説を宜しくお願いします💪 (2023年2月20日 20時) (レス) id: 13a7bfbe40 (このIDを非表示/違反報告)
眠る猫 - 22話のエリスちゃんの名前がアリスちゃんになっています,,,あ、な、なんか私なんかがすいません!!楽しんで読ませてもらってます!! (2023年2月16日 19時) (レス) @page27 id: cd1a79a794 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:三原色 | 作成日時:2022年12月4日 17時