グラサンが30 ページ37
中島視点
あれから少しの時間が経った。
精神操作異能力者である夢野久作が未だ横浜のどこかにいる____。
いつもの探偵社の事務所ではAさんが椅子に腰掛けてぼーっと自分の手の平の上にあるサングラスを眺めている。僕に背中を向ける形のため、顔は見えない。
「ど、どうしたんですか?そんなにサングラスを眺めて。」
サングラスを掛け、椅子をくるりと回してこっちを向いたAさん。
『いやさ、前のジャガイモの人と銃が効かない異能力者?から逃げる(ヴヴン戦ってる時にグラサン落としてさ。あれ気に入ってたんだけどやっぱり綺麗に粉々になってて…』
たしかによく見たらサングラスが新しい…様な気もする。
両手で両頬を押さえながら頬をほんのり染めて言った。
『だから新しいの買っちゃった』
何故、何故顔を赤くしているのだろう。
Aさんは僕の机の上のメモと時計を何度か確認した。
『敦くん、太宰と待ち合わせしてんじゃないの?』
時計をばっと振り返って確認する。一瞬秒針が止まった様に見えた。
そして「あぁ!!本当だ!ありがとうございます。行ってきます!」
事務所の扉を勢いよく開け、待合場所である大きな川の上にかかっている橋の上を目指す。
____
「太宰さん遅いな…」
携帯で時計を確認してぼそりと呟く。かれこれ30分は待っている。太宰さんの事だからコレが通常運転なのかもしれないけど…。
その時、影がかかる。
「待たせたな」
影から察するに身長が高い、そして太宰さんの声ではない。心当たりのない声に疑問を持つも、僕に話しかけている様だったので振り返る。
彼は金髪の高そうな背広を着た紳士…だった。橋の手すりに体重を預け、こちらを見ている。後ろには小さく見える観覧車がゆっくりとまわっている。中々に画になる。そんな見惚れてしまうような景色を堪能することはできなかった。
「なっ…⁉︎」
ソイツは組合の団長だった。
腕を虎化させ、大きく振りかぶり、脚を一歩踏み出す。勢いに身を任せ腕を振り下ろす。
拳は彼に当たることは無く、手前で停止させられた。虎の力を素手で受け止めたのだ。
「真逆、戦闘系の異能力…?」
でも、コイツを倒せば、戦争は終わりだ!!
掴まれた腕を思い切り引き寄せ、顎に蹴りを入れる。
のけぞる形になった組合の団長は2、3歩後ろによろめく。
そして動きを停止させたかと思えばこっちに顔を向け、笑顔で言った
「今の蹴りは良いな。一万ドル程度の価値はある」
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三原色 - あぁあ!@眠る猫 さん誤字報告ありがとうございますうぅ!お返事遅くなってしまい申し訳ありません。エリスちゃんの名前間違えるとか森さんに殺られる…アノ、私の返信の仕方絶対間違えてると思うのですがお手柔らかに…これからもこの小説を宜しくお願いします💪 (2023年2月20日 20時) (レス) id: 13a7bfbe40 (このIDを非表示/違反報告)
眠る猫 - 22話のエリスちゃんの名前がアリスちゃんになっています,,,あ、な、なんか私なんかがすいません!!楽しんで読ませてもらってます!! (2023年2月16日 19時) (レス) @page27 id: cd1a79a794 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:三原色 | 作成日時:2022年12月4日 17時