【d】pure Liebe 【ra運営】 (ページ9)

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『…っふ……ｯはっ………』

くらりくらりと目眩がするのを感じながら、それでも口から出る詠唱は止まらない。

真っ黒の魔法陣が自分を囲い、魔法陣の外には数匹のモンスターが此方を威嚇していた。

＿＿＿言っておくが自分はマゾでは無いし、シュルケ家もここまで酷い教育をする訳では無い。

"偶然"他の貴族の方と顔合わせがあった為、"偶然"馬車に乗っていた際、"偶然"自身が乗っていた馬車の車輪が外れ"偶然"自分だけ森に放り出されたのだ。

………………シュルケ家もここまで酷い教育をしない…………筈………。

偶然に偶然を重ねた結果、家の者や自身が乗っていた馬車とはぐれてしまい、途方に暮れていた。

………まぁなんとかなるさ、と適当に歩いていると目の前に立ち塞がったのはエメラルド色に染まったネバネバした物体と、あちこちの皮膚がただれている物体。

* 野生のスライムと野生のゾンビに道を阻まれた！！ ▼

前世にゾンビやスライムなんぞが存在する訳が無い。

そんなものは架空の存在だ、と呑気にポテチをかじってた自分を殴りたい気持ちになりながらも、自分は以前、エーミールに教えてもらった初級の闇魔法を出す。

『ｯ…………闇球(ダークボール)…！』

両手を前に突き出し、魔力を消費してやっとの思いで出した技はピンポン玉よりも小さい玉だった。

「ｳｷﾞｯ…」

かろうじてゾンビに当たったものの、ダメージはそこまで入ってる気がしない。

* A は闇球(ダークボール) を繰り出した！！ ▼

* ゾンビに 10 のダメージ！！ ▼

* ゾンビは雄叫びをあげた！！ ▼

* ゾンビとスライムの仲間が寄ってきた！！ ▼

ゾンビが叫び声をあげると、森のそこら中から大量のゾンビやスライムが集まってきた。

どのモンスターも敵意が見られるようで、どうやら俺はここに墓を建てることになるかもしれない。

あーあ、死ぬまでに一度だけでも乙女ゲームの主人公に会いたかったな〜。

あでも会ったら他の攻略対象に殺されるのか、またお墓が建っちゃう。

なんてふざけた現実逃避をしながらこちらに飛びかかってくるスライムから必死に逃げる。

草をかき分けながら、たまに後ろを振り返って闇球(ダークボール)を投げつつ、近くに街があることを願った。