【d】pure Liebe 【ra運営】 (ページ7)

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少年、エーミールと出会ったあと、自分は部屋へ戻り、記憶をまとめ始めた。

まず自分がこの身体に入り込む前の記憶、それに関してはほぼ諦めなければならない。

勿論自分自身にも共有出来れば万々歳だが、現状可能性は低い。

気長に待たねば。

そして生前の記憶、これに関してはほぼ整理する必要性が感じられない為、ほぼ放置として扱う。

何かに必要ならその都度思い出せば良いだろう。

そして自分がこの身体に入り込んだ後の事。

最初の数週間は部屋から出てみたり部屋に籠ってみたり運良く「シュルケ家」として招待された舞踏会に出席してみたり。

自分の味方や、同じ境遇の人は居ないものかと探してみたが、残念ながら何の成果も得られませんでした。

現実は厳しいなぁ、と遠い目をしながら何となく紙にシュルケ・A、シュメッタ・エーミール、と生前使っていた文字で書き記すと、酷く見覚えのある文字列になった。

シュルケ……………………シュメッタ…………………らせん階段………………カブトムシ………………廃墟の街……………。

考えれば考える程煩悩まみれになってしまう脳みそに苦笑いしながらも、生前、青い鳥が特徴的なSNSにてとても話題になっていた女性向け恋愛シュミレーションゲームのことを思い出した。

……………………もしかしてのもしかしてかもしれない。

整理するメリットが感じられない、と疎かにしていた生前の記憶をしっかり整理するために、ペンを握り直し、大人気乙女ゲームと謳われていた「pure Liebe」に関する記憶を全て引き出す勢いで書き綴った。

恋愛シュミレーションゲームとは程遠い生活をしていた為、ゲーム内容全てまでは把握出来ていないが、話題になっていただけあり、大まかなストーリー、キャラクター、世界観等、男性であった自分でも結構な情報は知っていた。

ゲームの主人公である光属性のヒロイン、その存在に嫉妬の炎を燃やす黒髪黒目で闇属性である悪役令息。

その悪役令息こそ、自分が入り込んでしまった身体の持ち主である、シュルケ・A。

そして「難易度easy」と分類されている中、「本当に難易度easyなのか」と「難易度hardの間違いでは無いのか」とプレイヤーを苦しませた攻略対象、それこそが「シュメッタ・エーミール」なのである。