【d】pure Liebe 【ra運営】 (ページ43)

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『寮母さん、持ってきたよ。』

「あら！ありがと…………ちょっと、どうしたの？」

寮に戻り、まっすぐに台所に居る寮母さんに卵を渡す。

寮母さんはすぐ、俺の顔を覗いて心配そうな顔をうかべた。

『何がですか？』

「今にも泣きそうな顔してるわよアナタ。…今氷袋用意したげるから、お部屋に戻っときなさい！」

すごく重たいはずのカゴを簡単に持っていき、布袋に氷を詰めると、俺の背中を押しながらズンズンと進んでいった。

「もー……辛いことあっても我慢しないの！！何があったの？」

『………昔、仲良かった人に会って………』

それだけ言うと、寮母さんはすぐ察して、自室のドアを開けてくれた。

「泣きたい時はいっぱい泣いていいし、怒りたい時はいっぱい怒ってもいいの。黒髪黒目だからってアナタの評判は落ちないし、仲良くしてくれる子の評判だって落ちないわ。」

それだけ言うと、「じゃ、おばちゃんご飯作ってくるから！…Aちゃんのご飯、お部屋に持ってくるね。」とだけ言い、台所へ戻っていった。

………もう寮母さんがヒロインでいいだろこんなん、逆に寮母さんがヒロインじゃないとかマジ？

目から溢れ出るナニカを隠すように、目をゴシゴシ擦り、静かに氷袋を目に当てた。

………学校の準備は、まだ良いかな。