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数週間この屋敷で過ごして分かった事は幾つかある。







まずこの世界には魔法というものがある。







なんちゃらポッターで言うところの杖を振り回すと魔法が発動するのだが、なんちゃらモンスターみたいに魔法には属性が存在していた。








そしてこの身体の持ち主_シュルケ・Aはシュルケ家の誰とも合わないし、縁起が悪いとされる闇属性持ちだった。





それに伴ってなのか、髪は真っ黒、瞳も真っ黒で、生前の自分の身体とほぼ一緒で自分的には割と自然なのだが、それでも許されないのがこの世の中だ。






食堂や家族での何かしらの交流があったとしても、自分の名前は他の家族に呼ばれる訳でも無いし、自分の分が用意される訳でも無い。









肉体から見て、おそらくこの身体は幼稚園児から小学生位の身長、体重をしているので、成長が遅れている、としても少なくとも家族や周りからの愛情や助けが必要な時期なのだ。







生前の自分でも程々に親や周りから愛情を受け取ったり助けて貰ったりしたが、それでも足りなくて意見のぶつかりとかトラブルが起こったりだとか、子供に注ぐべき愛情や注意は「これくらいで足りる」事なんてある訳ないと大人になってから知ったくらいなのに。









_________「忌み子」。



本当にこの言葉程シュルケ・Aに合うものはないと実感した。








しかし彼にもちゃんと友人は存在したみたいだ。







唯一外出が許される金曜日に街にある大きい図書館に向かうと、人気のない奥の方に彼は居た。










____「Aさん!来て下さったんですね…!」











唯一と言っていい程に黒髪黒目という特徴を持った自分に嫌な顔ひとつもせず、自分が来たことに対して嬉しく思ってくれる人。






____『…おはよう、エーミール。』






「シュメッタ・エーミール」である。

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作者名:ぽむ | 作成日時:2024年3月7日 6時

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