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「＿＿＿ん、＿＿＿ちゃん！」
「Aちゃん！！」
『ｯん…………りょうぼさん…？』
「おそよう、晩御飯持ってきたから、ちゃっちゃと食べちゃいな。」
ボーッとする頭で机の方へ見ると、いつもより少し多めに盛られた定食が置かれていた。
『…ぅわ…もうこんな時間、ごめんなさい寮母さん。』
ふと時計に目をやると、時刻は20時を過ぎたあたり。
みんながお風呂を入り終わって、就寝までの自由時間の時だ。
「ううん、今日くらい大丈夫よ。………Aちゃん、学校で腫れ物扱いされてるんでしょ？」
「おばちゃんのね、親戚の子、黒髪黒目なの。」
「魔王が復活するってお告げ、あったじゃない？そのお告げが広まった時から、その子、周りから酷い扱い受けてたの。」
「『黒髪黒目の子供は魔王の配下だ』なんだって噂が出回ってた、おばちゃんの親戚の子が魔王の配下なんて、そんな訳ないじゃない？」
「でも、それでも嫌がらせは止まらなかった。……どれだけ私達が違うと主張しても。」
『…………その、親戚の方は…。』
……寮母さんは目を伏せ、ただ首を振るだけだった。
悟ってしまった。
その親戚の子は、もうこの世にはいない。
やり過ぎた嫌がらせでそのまま勢い余って命を失ってしまったのか、嫌がらせの日々に耐え切れなくなって、自ら命を絶ったか。
経緯がどうであれ、亡くなってしまったのだ。
自分と同じような差別を受けていた子が。
「……おばちゃん、黒髪黒目が縁起悪いって噂、本当にバカらしいって思ってるの。」
「あんなつまらない噂如きで、あの子は亡くなってしまった。」
「………ごめんね、おばちゃん、多分Aちゃんと親戚の子、重ねちゃってるのかも。」
「おかしいよね」と悲しそうに笑う寮母さんに、俺は思わず「やめてください」と叫んでしまった。
『………俺、優しく接してもらったの、本当に久しぶりなんです。』
『小さい時、仲良くしてくれてた子達が居たんですけど、自分と一緒にいると評判が落ちるって言われて、それ以来会ってないんです。』
『今、俺の事を"ちゃんとした人間"として接してくれる人、寮母さんだけだから、親戚の子と重ねてもいいから､俺ともっと仲良くして下さい。』
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作者名：ぽむ | 作成日時：2024年3月7日 6時
