【d】pure Liebe 【ra運営】 (ページ38)

今日:9 hit、昨日:40 hit、合計:715 hit

□ ページ38

'

『…ただいま帰りました。』

「あら、Aちゃん、おかえり。さっきはありがとね！！」

『全然、それよりちゃん付けの方は＿＿＿』

「オバチャーン！！！！」

「ハイハイ！Aちゃん、ごめんね、ちょっとおばちゃん行ってくるから！！」

『ｧ行ってらっしゃい。』

忙しそうに生徒に呼ばれて動き回る寮母さん。

…………なんだろう、べつに嫉妬とかでは無いけど仲良い人を取られて気が悪い。

上級生、新入生関係なく、皆和気あいあいと過ごしている中、1人玄関で突っ立っている俺。

容姿であんなに陰口を叩かれている自分があの中に元気よく飛び込める自信などない。

大人しく俺は自室へこもることにした。

「…………。」

「……黒髪黒目、ねぇ。」

階段へ上がる直前、おそらく上級生と思われる人と目が合った気がしたが、十中八九気の所為なので、すぐ目を逸らして階段を踏んだ。

そもそも、目が開いてるか分かんないくらい細目だったし、流石に自意識過剰すぎたな。

なんて恥ずかしい勘違いをしてしまったのか、と反省しつつも、階段を登りきり、しばらく廊下を歩いて自室に戻る。

思い切りベッドにダイブして「あ"〜………」等とオッサンのような呻き声を漏らす。

入学式如きでこんなに疲れるとかマジで今後の事とか考えたくない。

まじでホントに恋愛の邪魔しないからヒロインも俺の生活の邪魔をしないで欲しい。

ヒロインの性格がめっちゃ良い子という事を願って、俺は静かに沈みつつある瞼を閉じた。