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「ヤベェ……俺らもしかしてあの人と同じ寮なんかな……」
「方向的に絶対そうだろ…最悪だ、なんであんな奴と一緒の寮に……」
「黒髪黒目って……不吉すぎんだろ、さよなら俺の平和な学校生活……」
…………おいおいお前ら先生から「差別しないように」って言われたばかりだろ……いや、差別しないのは身分に関してか。
……なーんか、ゲームの悪役設定とか関係無しに平和に過ごそうと思ってたけどこんなにボロクソ言われるし、設定通り闇堕ちしてやろうかクソが。
長い渋滞を抜けてやっと寮に向かっていると、後ろからずっとコソコソと陰口を叩かれている。
そこのお前ら聞こえてないようにしてるけど全然聞こえてるからね???
周りから避けられて歩かれるし、上級生からは睨まれてるし、どっかから目線感じるしなんなんだホントに……。
周りが集団で歩いている中、1人ボッチで歩いているのが自分だけという事実に悲しみながら歩いていると、寮の前が人だかりになっているのに気づいた。
…嗚呼、寮の部屋がイマイチ分からないからそこで待機しているのか。
1人納得して周りと一緒になって立ち止まるが、それはそうとして上級生の人達の迷惑この上ないよな、と苦笑いをする。
「……あら、今年はこんな沢山の生徒が!ようこそ!!」
畑方面からやってきた寮母さんは、長靴で所々土を付けながら畑道具を抱えていた。
「えーっと、ちょっと待ってね、今案内したげるから……」
畑道具を抱えながら、右往左往している寮母さん。
大方、畑道具を片付けに行きたいし、寮の案内もやらなきゃだからアワアワしているんだろう。
覚悟を決めた俺は、「スミマセン」とだけ言葉を放ち、一気に空いた道をズンズンと進んだ。
『…道具、俺が片付けとくんで寮母さんは案内の方を。』
「あら!…良いの?」
『もちろん。』
「ありがとうAちゃん、あとでおかず、大盛りにしといたげるから!」
「さぁ、おばちゃんに着いてきて頂戴、今日からここがアナタ達の住む寮よ!!」
寮母さんは周りに聞こえるような大きい声で俺とやり取りした後、生徒を連れて寮へ入っていった。
……………あれだけちゃん付けするのは止めてくれと頼んだのに!!
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作者名:ぽむ | 作成日時:2024年3月7日 6時