【d】pure Liebe 【ra運営】 (ページ29)

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眩しい光がカーテンの間から差してくる。

朝から元気な太陽光にウンザリしながらも、のそのそと服を脱ぎ出す。

入学初日から売店って空いてるかな、とか、1年でも食堂って使えるのかな、とかどうでもいい事を考えながら、新しい制服に腕を通す。

昨日、応接室でのティーカップに毒が混入していたという事実があり、用意された夕食も信用出来ない状態で、結局ひとつも口を付けなかった。

自分の家だというのに油断も出来やしない。

俺は収納魔法を使って熊の干し肉を取り出した。

1人で住んでいた間、料理人なんて当たり前に居なく、全て自分でご飯を作っていた。

というのもまともな飯を作る訳では無く、適当に森の中に生息する食べれそうな動物を狩ったり川に入って適当な魚を捕まえたりして食べていた。

適当な生活しかしていないのでその日狩れた動物や魚が0匹、というのも少なくなかった。

そこで活躍するのが干し肉だ。

もし何かあった時、いつでも食べられるように定期的に晩御飯にて、食べきれなかった肉を適当に乾燥させて常備しているのだ。

干し肉を口に突っ込んでモゴモゴ動かしながら、入学に必要な物や教科書等を収納魔法を使って亜空間に飛ばしておく。

それから寮生活を始める為の必要なものもついでに亜空間に飛ばしておいた。

他に忘れ物がないか、一つ一つゆっくり確認しておく。

……いつかのエーミールが指差し確認をしていたが、後日忘れ物をしたという事実と一緒にならないように、

………よし、大丈夫だな。

結局、屋敷には1日しか戻らなかったな。

本当は数日泊まって入学式ピッタリに寮生活を始める予定だったが、ここでは何されるか分からない。

執事さんに頼めば嫌々でも馬車を出してくれるだろう。

途中、何かトラブルがあっても自分で対応すればいい話だ。

俺は自室を後にした。

…………久しぶりの屋敷で迷子になりそうだというのに、これから執事さんを探さなければならないなんて、気が遠くなりそうだ。