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ｺﾝｺﾝｺﾝ
『Aです。』
「入りなさい。」
『失礼します。』
ドアを開けると、父がソファーに座っていた
机には結構な種類のお菓子がケーキスタンドに乗せられていた。
「………座りなさい。」
『……失礼します。』
言われるがままに父と向かい合って座る。
ドアの近くで待機していたメイドが新しいティーカップを置いて紅茶を淹れ出す。
「……無事に帰ってきた事を感謝する。」
『ありがとうございます。』
中々本題に入ろうとしない父にイラつきながらも、父の口が開くのを待つ。
「……長い間、私達は巫山戯たウワサに踊らされていたらしい。」
「正気に戻った瞬間、私は今まで悪夢を見ていたのような気分だった。」
「……今まで済まなかった。我が子を疑っていたのが信じられない。」
頭を下げ、息子に許しを乞う父親。
バカらしい
『……侯爵様ともあろうお方が安易に頭を下げないで下さい。』
『…魔王復活が危惧されている中、疑われるような容姿をしているのが悪いのです。』
「そうでしょう？」と父に笑いかけるが、帰ってくるのは沈黙だけだった。
あなた達の持つ常識通りにいくと黒髪黒目の自分を迫害するのは当たり前の事だろうに。
『言いたい事はそれだけでしょうか。』
俺は自分の前に置かれたティーカップを見つめ、少し顔を顰めた。
陶器のティーカップに陶器のティースプーン。
ティーカップが陶器なのは理解出来るが、陶器のティースプーンは余りにも不自然すぎる。
俺は自身に向けられた紅茶に、黙って解毒魔法をかけた。
紅茶は蒸発していき、カップの中には大量の白い結晶が残った。
科学は詳しくないが、まぁ十中八九毒だろう。
『紅茶に毒を入れるくらい嫌われてる事が分かりましたし、私はもう出ていった方が皆さんの為でしょう。』
それだけ言い放って、俺はすぐに応接質を後にした。
’
「………私の息子に毒を盛ったのは誰だ。」
「わ、私は何も知りません！！」
「私もです！！！わたくしも何も知りません！！！」
「うるさい！！！！お前ら全員今日でクビだ！！！！！」
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作者名：ぽむ | 作成日時：2024年3月7日 6時
