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＿＿＿いつもより暗い図書館はすこし寂しい。
誰も居ない、掃除もされていない、何の手入れもされていない本が並ぶ。
自分が唯一後悔していること、それはあの二人にまた会う約束をした事だ。
父から「高等部へ上がるまで都市から離れた場所に位置する別邸に過ごす様に」と命令されたのが数週間前。
やっと自分が行き来する部屋だけでも掃除を終える事が出来たのが数時間前。
…………2人とよく過ごした図書館に似た部屋を見つけたのがついさっき。
ここには使用人もメイドも料理人も居ない。
広い屋敷に1人、これから数年過ごす事になる。
自分が居るからシュルケ家の評判が下がっていくのは知っていた。
だから母も父も自分の事をどうにかして離そうとしたのも知っている。
自分と仲良くしているせいでシュメッタ家やレイラー家の評判が下がりつつあるという事実は、知らなかった。
今までの自分なら、額を床に擦り付けてでも、父の足に縋り付いてでもここに置かせてもらうことを頼んだと思う。
………自分があの二人とつるんでいるせいで二人の評判も下がっていくなんて。
良く考えれば分かる事だった、自分は愚かだった。
本当に2人には申し訳ない、二度と顔を合わせられないくらいだ。
自分が座ろうとしている椅子と、使おうとしている机だけ綺麗に拭き、埃がかぶった一冊の本を取り出した。
「魔法基礎学」と手帳の上に書き、本を開く。
前世には魔法が存在しない、そのせいでこの世界では当たり前になっている魔法の基礎が分からない。
魔法陣を使った方法も、エーミール達と魔法の練習した際のウツの発言的にこの世界では常識だったんだろう。
周りの知識に早く追いつかなくては、いや、周りの知識よりも多く、深く。
エーミール、アイツの知識に追いつくように、追い越すように。
俺は、このゲームの悪役なんだ。
主人公なんかに負けてたまるか。
このゲームのストーリーなんて知らないし、知ってたとしても自ら死にに行く訳ないじゃないか。
俺は静かに、びっちりと文字で埋まってしまったページをめくった。
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作者名：ぽむ | 作成日時：2024年3月7日 6時
