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＿＿本当に偶然の出来事やった。
ホンマにたまたま図書館に向かって歩いとっただけやった。
完全な黒ではないけど、それでも藍色は好かれる色でも無かった。
当然家でも異質な存在として、なんとなく、ホンマになんとなく、メイドや使用人とかから避けられとった。
誰も相手してくれん家に居てもおもんないから、と言ってフラフラと外へ出て適当に散歩しとった。
なんとなくで中に入った図書館は、家みたいにがらんとしとった。
奥の方から、少し大きめの声が響いとった。
久しく聞こえる人の声が恋しくて、バレないようにゆっくり近付いて話を聞いた。
モンスターに囲まれたのを、何とか1人で倒す話。
戦いとかあんま好きやない僕にとってはちょっと退屈するハズやのに、何故かこの話だけは集中して聞いとった。
しばらく本棚にもたれかかって聞いとると、いつの間にか寝とったみたいで、目ぇ覚めた瞬間慌てて起きた。
その拍子に本棚に頭ぶつけてもうた。
「いてっ」
連鎖的に本も何冊か落ちてもて、見事に僕は本の下敷きになってもた。
「ぅぷっ…く、くるし…………」
奥の方に居った人に気付いて欲しいが、そうすると僕が盗み聞きしとったのも気付かれてまう。
助けて欲しい気持ちと助けて欲しくない気持ちがずっとぐるぐるして、泣きそうになった瞬間
『！エーミール！！』
「はい！！！」
2人は急いで本を退けてくれた。
次いでに怪我も治してもらったり、紅茶をご馳走してもらったり…………。
2人に、何故か自身の悩みやモヤモヤしとる事を全部吐いてもた。
それでも2人は優しく微笑んでくれた。
……エーミールと名乗る人が、「実は私達も差別されてきたんですよ。」
一緒ですね、って笑いかけてくれた。
………似た者同士、やねんな。
ひとりぼっちやった僕に優しく手を差し伸べてくれた2人を、きっと僕は一生大切にすると思う。
…………エーミールにだけは絶対言わんけどなっ！！！
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作者名：ぽむ | 作成日時：2024年3月7日 6時
