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永遠に渋りまくるエーミールに
エーミールのポケットに入ってたらしいバナナと
『…………エーミール…………………???』
「おまっwwwエーwミーwルwww」
「Aっ!!!!」
顔を真っ赤に染めながらポカポカ殴ってくる。
『………ごめん、エーミール……まさかこんなの持ってるなんて………。』
別に殴られてるところは痛くないのだが、心が痛くなって、何となくいたたまれない気持ちになってしまい、バナナとを返した。
『………まぁ、嫌なら無理に言わなくていいよ。エーミールにはエーミールなりの考えがあるだろうし、嫌な事だってあるからね。』
「…………。」
「……ま、僕らはどんな属性だって笑いはせーへんけどなっ」
ウツは地べたに座りながらエーミールに笑いかけた。
基本エーミールに関しては辛辣めなウツだが、こういう時に限ってマジでホントに良い男なんだよなぁ………。
ウツの言葉を聞いて何かを決心したのか、エーミールは静かに本を取り出した。
おそらく基礎魔法のひとつである収納魔法を使っているんだろう。
明らかにポケットに入る訳のない大きさの本を開き、静かに何かを詠唱したあと、本をゆっくり閉じた。
途端、文字や絵、人形なんかが浮かび上がり、人形が踊り出したり、絵がコロコロ変わったりまるで前世のアニメを見ているようだった。
『凄っ………………』
「え凄いやんエーミール!!」
地べたに座ってたウツは浮かび上がった物に対して前のめりになり、目をキラキラと輝かせて眺めていた。
エーミールはポカンとした顔で此方を見つめ、暫くするとにっこり微笑んだ。
人形が踊り終わり、ゆっくり此方に礼をすると、浮かび上がっていた物は静かに消えていった。
「………図書、それが私の属性です。光と草の複合派生属性で、本から文字や絵を浮かび上がらせたり、その本の内容を一瞬で理解することが出来たり、白紙の本があればそっくりそのまま複製させることも出来ます。」
ただ、それだけなんですけどね。と自傷的に笑うエーミールにウツはイラついた顔を浮かべながら水の玉を顔面に打った。
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作者名:ぽむ | 作成日時:2024年3月7日 6時