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「……何がともあれ、Aさんの身に何事もなくて良かったですよ。」




『ひひっ、今思い返せばめっちゃ楽しかったぞ!』







イマジナリーエーミールのくだりでまたぷりぷり怒りそうになりながらも紅茶を飲んで落ち着いてくれた。






そんなこんなでしばらく談笑していると、近くの本棚近くから物音がした。





ガタガタッ



いてっ


『!!』


「!!」





物音がした後、続けて何冊か本が落ちた音がした。




と、同時に誰かの声が小さく聞こえた。





誰かが本の下敷きになっていては危ない、エーミールと顔を合わせ、2人ですぐ音がした方へ向かった。






「ぅぷっ…く、くるし…………」






『!エーミール!!』






「はい!!!」






悪い予感は当たってしまった、本の下敷きになっている子をすぐに救い出し、近くにある椅子に座らせた。







エーミールが彼の分の紅茶を淹れている間、俺はエーミールから預けられた救急箱を持って彼の手当てに勤しんだ。







…………何回も言うが、俺は黒髪黒目でこの世界では嫌われているのだ。







エーミールと今仲良く話すことができるのもエーミールがこの俺の髪や目を差別せず、俺自身を見てくれているからなのだ。





周りから見れば俺は異質な存在。それはどう頑張っても覆らない。








つまり何が言いたいのかと言うと…………







「………………………。」








『………………………。』







バカ気まずいです助けて下さいエーミール。







何この子すんごいこっち見て来るたすけてほんとに怖い無理無理無理。







「……かみのけ。」






『……ェ。』







「シュルケ家の息子の人ってほんまにかみのけと目が黒いねんな。」






『…………………ゥン…ソウダヨ…………。』







「ぼくな、ちょっとあんたに似てるんよ。まっくろではないけど、暗い色なんよ。」








『……………。』








「あいいろ、って言うねんで、この色。ぼくはこの色、好きなんやけどな、ほかの人はきらいなんやって。」









『…………………そう。』









おれも、俺が体に入る前まではこんな感じだったのかな。








確かに彼の髪と瞳は綺麗な藍色だった。





黒に近い、青色。






彼も髪色や瞳の色で差別されていたのかと思うと、少々心が痛むな……。

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作者名:ぽむ | 作成日時:2024年3月7日 6時

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