あのね、川西先生。 (ページ8)

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拓実side

ずっとなりたかった高校教師の夢を叶えた

4年前まで通っていたこの鈴蘭高校

今度は先生として戻ってこれた

非常勤だけどいずれは専任になれるよう頑張りたい

そう意気込んで初めての授業をしに向かう

緊張するな…

でも小さい頃からの夢を叶えたんだ

頑張らんと

＊

3年6組の教室に着く

ふぅ…と小さく息を吐き

扉を開けた

『…おはようございます』

『えっと…この授業が全体を通しても僕の初授業になるので………』

『………なんやろ…結構緊張してます……笑』

そう言うと

川西先生彼女いるの〜？

なんて質問が飛び交う

みんな興味津々な目をして聞いてくる

自分でもじわじわと顔が赤くなるのが分かる

俺は

秘密、とだけ言って

『…俺ばっかじゃなくて…！』

『みんなも自己紹介してくれたら嬉しい……な…』

なんて話を逸らす

危なかった……笑

＊

名前の順に自己紹介が進んでいく

貴｢……A…Aです…｣

貴｢……苦手な教科は数学です｣

貴｢よろしくお願いします…｣

緊張しているのか

頬を赤く染め

何だか自信のなさそうな彼女

周りの女の子とは違って落ち着いて見える

目鼻立ちもはっきりしていて

時折窓から入り込む風に

サラサラな真っ黒でストレートの髪をなびかせる

純粋にタイプだと思った

そんなことを考えていたら

気付けばもう彼女自己紹介は終わっているというのに

じっと彼女のことを見つめてしまっていた

赴任してきてそうそう

生徒にこんな感情を抱いてはいけない

そう思い彼女と思わず交わった視線を

自分から逸らす

彼氏とかいたりするんやろうか

なんて

何でそんなに気になってんねん自分

何だか調子が狂うなぁ