あのね、川西先生。 (ページ19)

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今日はお母さんから早く帰ってきてって言われてるから

放課後、川西先生の元へ行かないですぐに帰るつもりだった

…ちょっと雨降るなんて言ってなかったじゃない

外は生憎のザーザー降りだ。

いつもなら必ず折り畳み傘をカバンに入れている私

だけど今日に限って荷物はパンパン。

入らなかった私の傘は、きっと今頃玄関だ。

…しょうがない

濡れて帰るしかないか、、

そう思って昇降口から足を1歩踏み出そうとした時だった。

･

汐『…何してんねん』

汐『こんな雨の中傘もささんと帰る気やったんか』

｢…え…なんで汐恩がいるの、｣

汐『…ばかAが1人で帰ろうとしとった所を……たまたま見かけたからや』

汐『ほら、行くで』

そう言って私の腕を取る汐恩

たった1週間だけど久しぶりに見たその背中は

いつの間にか、大きく…ガッシリなっていて

私の方が背の大きかった幼い頃が

もうものすごく遠い昔のように感じた。

･

｢…ばかAって何よ｣

汐『ははっ…まだ引きずっとんかそれ笑』

汐『…やけど…受験生なんに風邪引いたら大変やろ』

小さな折り畳み傘の中

汐恩の右側の肩はもう既にびしょ濡れで。

身体でかいのに、

不器用なのに、、

…汐恩のくせに

何カッコつけてるのよ

｢…汐恩が濡れちゃうから｣

私は傘を汐恩の方に傾ける。

汐『いいねんて』

汐『ばかは…風邪引かんのやろ？』

｢…ふふ笑｣

｢もう自分で認めちゃってるじゃない…笑｣

汐『…今日は川西のとこ行かんでええん？』

｢…川西って…川西先生…でしょ？笑｣

汐『別にそんなんどうでもええねん』

｢今日はお母さんに早く帰ってきてって言われてるから…川西先生の所には行かなかったよ｣

汐『…そうなんや』

｢…川西先生が…どうかした？｣

汐『…いや…別にどうもせーへんけど』

汐『…雨…降っとって良かったなって』

｢…え？｣

汐『それと…傘忘れてくれてありがとう』

空いている方の手で自分の頭をかきながら照れている汐恩

｢…何それ…意味わかんない笑｣

汐『…そりゃAにはまだ早いやろ、この意味は』

｢…もう！何なのその子供扱い！｣

なんて私は反抗したけど

…汐恩

私、傘置いてきて良かったよ

いきなり汐恩を避けた私にも

変わらない優しさをくれた汐恩。

こんなわがままな私でごめんね、、