あのね、川西先生。 (ページ14)

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汐恩side

ちゃっかり最前列に座っているA

俺のこと好きすぎじゃん、

なんて思わず舞台袖で笑顔になる俺

翔『汐恩…！悔いのないように頑張ろうね！』

｢おう…！｣

そうして今までで1番のパフォーマンスが出来た

出番も終わりAを探す

やけどAはおらんくて

･

ロビーにいた真凜に告白された

まさか好意を持たれていたなんて気付かんかったし

第一、俺の好きな人はAやから

その気持ちに応えることは出来ひんかった

汐『…ごめん、真凜とは付き合えん』

真『…ありがとう！はっきり言ってくれて……！』

真『…Aちゃん…好きなんだよね？』

真『応援してる』

真『…これからも友達として…よろしくね？』

汐『…おん、もちろん』

必死に作り笑いをしている真凜を見て

まるで自分を見ているのかと錯覚するようやった

好きな人に好きな人がおる

その気持ち、俺には痛いほど分かるから

･

翔『もう汐恩…どこ行ってたの！』

そう言う翔也の右手には俺の大好きなハニーレモンが

汐『…Aに貰ったん、それ』

翔『…？これ？そう、Aちゃんに貰った〜！』

翔『汐恩も食べる〜？』

嘘やん、

それ絶対俺に作ってくれたやつやん

汐『…Aどこおった…？』

翔『Aちゃんなら多分もう帰ったよ？』

なんやねん、先帰りよってから

汐『…ん、ありがと』

翔『汐恩！要らないの？Aちゃんの手作りハニーレモン』

汐『…いる』

ダンスの大会ごとに作ってくれていたハニーレモン

いつもこれを楽しみに頑張っていたと言っても
過言ではない

だけど久しぶりに食べたそれは

心無しか

少し酸っぱくて

苦かった

なぁ、

なんで帰ったん？

いつもは待っとってくれるやんか