婚約者から愛される方法【五条悟】

悟くんside ページ4

昔から笑ってばかりのAが嫌いだった。




貴方「悟くん、待ってください」




転けても手を差し伸べない俺を睨むこともせず、
顔を上げれば可愛く笑って




貴方「悟くん、どこに行きますか？」




俺に手を差し伸べてくれるあいつが酷く憎くて、





悟「また敬語…やめろって」




貴方「あ！
すみません癖で」




物凄く…愛おしく思えていた。





貴方「えっと…悟くん？」




志乃の方が美人で、体付きもいい。
女としても完璧。



貴方「私、出ていきたいんだけど」




だから、後腐れなく結婚する。
こいつなんて…




悟「勝手な事すんじゃねぇよ…」





こいつの身体、こんなに細かったっけ。
抱き締めたのいつぶり？




貴方「悟くん」





俺ってこんなクズだっけ。





貴方「大丈夫ですよ、

私はここに居ますよ」




でた、こいつのコレ。
ほんと偽善者…





貴方「ほら、もう行かないから
リビング行こう？」




偽善者だったらどれだけ俺のこの不貞が許されるんだろう。
硝子に殺されるな。





Aは俺をソファーに座らせて、横に腰を下ろさず床に膝をついて俺の顔を両手で包む。






貴方「折角の美人さんが台無しだよ、悟くん」





悟「うるせぇ、ブス」




貴方「またそんな事言って、口が悪いですよ」





また敬語。
冷たいな…手。




貴方「悟くん」



Aは困った顔で言う。





貴方「また寂しがりやモード？」




俺はこいつに依存してる。
嫌いながらこいつがそばにいないと落ち着かない。




悟「…だったら何」




だけどこの優しさが痛くて、嫌いで仕方ない。
こいつを傷つけたくて仕方ない。




貴方「悟くんは昔から変わらないね…」




愛おしい目で見たくない。
お前が俺を見るように。



大事にしたくない。




悟「うるせぇ」





Aが俺に優しくするほど





貴方「悟くん、そろそろ仕事行かないと私クビになります」




悟「なれば？」




貴方「あらあら」




俺はお前に優しくできなくなる。

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