昼想夜夢【黒×紫】

浮気 ページ23

横山side






俺の方が先帰ってきたから、お風呂の準備をして
ヒナの帰りを待つ。


しばらくすると玄関が開いた音がしたから
小走りで玄関に向かう。



村「…ただいま」

「おかえり」

村「手洗うから待ってて」

「ん、」



カバンを置いて手洗いうがいをするヒナの後ろを
ずっと着いて回ってると「そんなんせんでも逃げへん」
と笑われた。



村「ビールでええ？」

「うん、ありがとう」



ビールを持ってきてくれたヒナがソファに座った。



「…雑誌、みたやろ？」

村「…うん、みたよ」

「あの人、舞台で一緒になった人で…打ち上げ行くって
言うてた日あるやろ？」

村「…ん」

「外出た時に撮られたやつやから…あの人とはなんもない」

村「……」

「…なぁ、ヒナ。」



ビールを両手でギュッて包んで俯いてるヒナの顔を
覗き込むと、昼に見た顔と同じような顔してた。



村「…いつもの匂いの人？」

「いつもの匂い？」

村「…いつもいつも、女の人の匂い、して帰ってきて」

「…」

村「やっぱ女の人がいいんかなとか、…俺、もう
飽きられたんかなって…」

「そんなん、」



村「ヨコは！……ヨコは…ほんまに、俺のこと…すき？」




珍しく、ボロボロ泣きながら話すヒナ。
思わず抱きしめてしまった。

舞台の中で抱きしめるシーンがあるから
その時に匂いついてしまったんやろうな。

声を出しながら泣くなんて、ほんまに見やんから
ちょっと焦ったけど、ここまでヒナを悲しませてるとは
思わんかった。



村「ヨコ、っ俺なんてどうでもいいんやろ、？」
「女の人のほうが、よかった？」

「そんなわけないやん、なんでそんなこと言うん」

村「…いやや、離れんといて……っ」

「離れへんよ。俺ずっとここおるよ」



俺の胸元の服を握ってずっと泣いてて
なんとか泣き止ませようとしてもなかなか。

稽古期間ほとんど会えてなかったし
余計、不安にさせてしまったんやろうな。



「ヒナ、不安にさせてごめん」

村「うっ…ヒクッ」

「ヒナは俺のこともう嫌い？」

村「…そんなわけ、ない！すきやもん、」

「ん、ありがとう。俺も好き、絶対離れへんよ」

村「ん…」



もう絶対、こんな思いさせへん。
首にしがみついて落ち着いたヒナの背中をさすっていると
「浮気してると思った」なんて言い出すから
こっちが泣きそうになった。



「浮気は絶対せん」

村「…したら許さへん」

「絶対しやんって！」



信じてない顔するから、キスしてやった。

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