【刀語】本当のコトだったら（短編集）【真庭】 (ページ8)

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三日月の夜の　2　白鷺ページ8

(綺麗だな…)

人鳥君にもらった雨を月にかざして、
月光で反射するのを楽しんでいるときでした。

でも、屋根の上に気配を感じて。

(誰…?まさか、こんな時に客(敵)…?)

短刀に手を当てて、存在を確かめたと同時。

「誰！？」

即座に短刀を抜き、気配のする方によく磨いだ刃を向けたとき。

「てっ待とっょち、俺てっだ俺。」

「え…？」

慌てた様子で、屋根から逆さ向きに顔を出したのは白鷺君。

「ぎさらし君!？」

「だから、白鷺だってば。」

そういうと、くるっと反転し、私の前に立つ。

「よだんぶよてっしらさぎもつっいでんな」

「さどけーねもでやいでまこそ」

「えーだって…」

～回想～

「だぎさらし組鳥はれお」

「えっと、こいつは逆さ喋りが好きなんだ。」

「白鷺っていうのよん。ふざけてる訳じゃないみたいだけどね。」

「。。。。。」
(逆さ喋り
↓
ふざけてる訳じゃない
↓
自己紹介も逆さ。
↓
「ぎさらし」ってよんでほしい！)

「わっかりましたぁ!よろしくおねがいします。」

ーーーーーーーーーー

「大丈夫！わかってるから！」

「・・・ろだいなてっかわ」

白鷺(ぎさらし君)は、私の横に座る。

「？だんたてみにな」

「えと…あ、うん。人鳥君にもらった飴。」

いつまでたっても、彼の逆さ言葉を解読するには、少し時間がかかる。

「なだんないれき」

「ね。でしょう？」

「かのいなべた？」

「えと…、あ、うん。もったいなくて…」

「かうそ。」

「にのいいばえましてべ食くやは」

逆さな上、長い。しかも、小声と来た。

「え？もっかい言って？」

「いなもでんなやい。」

「れお、わくいろそろそ。」

「そっか。」

「よろねくやは。」

「うん。おやすみ」

そのあと、屋根の上で。

「ちっ、俺もなんかあげようかな。」

そんな呟きを知ってか知らずか、私はまた、飴を眺めているのでした。