昔話の 鳳凰 ページ12
「それにしても、なんでみなさんアレを見物なさってたんでしょうか。」
「んん、そなたの戦闘方は舞うようで美しいからの」
「そうでしょうか。」
今、私は鳳凰様の部屋にいる。
おいでというのでついてきただけだが、
なんとなく雰囲気が重い。
「それでお話というのは?」
「ああ、そなたの仕事のことなのだ」
その瞬間びくっと。
心臓が跳ねるのを感じる。
「…はい・・・。」
「あれほどの腕を持ってして、今でも任務にほとんどつかないというのはどうかとおもうのだが。」
真面目な顔。真面目な口調。
そのすべてが、目の前の真庭鳳凰という存在をかき立てる。
私は…私は…
「私は…」
「ずっと、そうでしたから。」
「私の、兄も、母も、祖父も、またその上の先代たちも、」
「みんな、そうだったんです。」
鳳凰は、先程の姿勢を崩さず、じっと、
ゆっくり話す私を見つめる。
「私も、今は亡き兄の後をついで、記録者の名につきました。」
「私の、いえ、私達の仕事は記録すること。」
「小さいころ、聞いたことがあるのです。
『記録者の任務は、この里を守ること
。
その一家はこの里の一から今まで、すべてを知っていなきゃいけない
。だからこそ、死んだら何もわからなくなる。』と。」
「この里を守るためなら、なんだってします。任務だってつかなくちゃ行けないときは行きたいです。でも」
「怖いんです。何もなくなるのが。」
「そんなことはないと思います。けど、」
「奥書院の管理として」
「もう、なくしたくないんです。」
(兄さま…)
「わがままです。わかってるんです。」
「けど…「もういい。」はぅっ!」
「えっ、鳳凰…さま…?」
「もういいから。」
急に鳳凰様に抱きしめられて。
「もういい。よくわかっているから」
「わかり…まし…た」
久しぶりに誰かに抱きしめられた。
鳳凰様の体温を感じて。
「ほ、ほうおう…しゃまぁっ…///」
「わっA?大丈夫か!?しっかりしろぉ!!」
私はいきなりのことにびっくりして、目を回してしまったのでした。
さてさて、昔話に謎は付き物。
今回でてきた兄さまのはなしは
またいつか。
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ヒョウヒ - ユタさん» ありがとうございます!連載頑張ります! (2016年3月31日 15時) (レス) id: 787bc9839c (このIDを非表示/違反報告)
ユタ - 続き楽しみです! (2016年3月30日 19時) (レス) id: 7df5f2c691 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:サマリウム | 作成日時:2016年3月28日 23時