月明かりの下で ページ2
そんな風に過ごす一方
空気が澄んでいる今の時期は
すっかりバンビのお気に入りになった
お月見をして過ごす夜も多くて
「綺麗だねぇ...」
「うん」
私は月の綺麗さを知った
二人並んで腰掛けた縁側
「僕もこんなに綺麗だと思わなかった」
そう言って月を眺めるバンビの瞳は
この夜空のように澄んでいて
かつて色盲だったバンビが
目に映る景色に、いかに感動しているかわかる
「あ、鈴虫が求愛してる」
「え、鈴虫？」
「うん、鳴き方が違うでしょ？」
そう指摘されて耳を澄ますと
リリー、リリー、リリー...
確かに鳴き方が違う気が
流石山育ちだけはある
「ねぇ、A」
「ん？」
「人間は、どうやってプロポーズするの？」
バンビがこっちを見た
「人間はねぇ、男性が女性に指輪をあげて
プロポーズする事が多いかな」
「ゆびわ...？」
首を傾げるバンビ
そっか、鹿の世界に指輪はないか
「指輪っていうのはね
指に嵌めるアクセサリー」
「あくせさりー...」
それも知らないか、と思いきや
「あ、そう言えばドラマでしてた、ゆびわ」
無駄かと思えたドラマ鑑賞が
こんなところで役に立った
「この指に、するんだよね」
バンビがこちらに向けた左手の薬指を指差した
意外と観察力が鋭い模様
そして長い指
「そうよ」
「じゃあさ...」
すると突然バンビが立ち上がり
庭の方へと歩き出した
「バンビ...？」
訳がわからずその姿を追っていると
ある場所でこっちに背を向けしゃがみ込んだ
その背中を、月明かりが優しく照らし
辺りには鈴虫の鳴き声
「はい、A(笑)」
しばらくして
私の前に立ったバンビの手には
一輪の白いコスモスの花
「これって...」
バンビの掌の上で、小さな輪っかになっている
「うん、ゆびわ」
「指輪...」
「僕はAが好き(笑)」
言いながら私の手を取り
薬指にゆっくり指輪を嵌めるバンビ
「好きだよ、A...」
嵌め終わると今度は
掴んだ指先の甲にそっとキスをした
バンビ...
正直、今にも泣いてしまいそうだった
月明かりの下
こっちを向いて微笑むバンビにも
薬指に嵌められた
バンビが作った指輪にも...
「好きだよ、バンビ...」
「うん(笑)」
.
ねぇ、バンビ
この時くれたコスモスの指輪を
今も変わらず仕舞ってあると言ったら
すっかり枯れてしまった花を見て
あなたは無邪気に、笑うのかな
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ami(プロフ) - miさん» miさん、バンビとずっと一緒にいたいですよね。何とかその方向でと、無理やり妄想するんですが、やはり無理なんですよね(*ToT)なかなか気が重たいですが、完結目指して進めていきますね。 (2021年8月6日 1時) (
レス) id: abcc065ec9 (このIDを非表示/違反報告)
mi(プロフ) - バンビほんとカワイイ。ヒロインに会いたくて人間になってくれたけど、それは期限付き？ずっとはいられないのかな？ずっとずーっと続けばいいのになぁ。 (2021年8月5日 6時) (レス) id: b895eebeca (このIDを非表示/違反報告)
ami(プロフ) - ちゃみゅさん» ちゃみゅさん、早速バンビとお風呂から書き始めていますが無事ゴールまでたどり着けるのか(笑)既に枯れそうなピンク脳をフル回転して挑みますが、期待せずにお待ち下さいね。 (2021年7月19日 17時) (レス) id: abcc065ec9 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃみゅ(プロフ) - こんにちはamiさん(^_^) 楽しみです(*ﾟ∀ﾟ*) テンション上がってます(*´Д｀*) おっと、２人の甘く切ない初恋を忘れて脱線してます\(//∇//)\ 先走りすぎました(^-^)v (2021年7月19日 13時) (レス) id: 37bbc539fb (このIDを非表示/違反報告)
ami(プロフ) - ちゃみゅさん、外野からの中継、ありがとうございました(笑)焦れったいですよね。まるで初恋のように焦れったいです。いや多分二人にとってこれは初恋なのでしょう。そんな二人の恋の模様をこれからも見守ってやって下さい。 (2021年7月19日 3時) (レス) id: abcc065ec9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ami
| 作成日時：2021年7月14日 8時
