ミッドナイトの弟だからしょうがない【番外編】 (ページ26)

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19 ライバル意識ページ26

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『維せんぱーい、調子どうですか～～』

家庭訪問を済ませた後、俺はフルーツバスケット片手にベストジーニストのお見舞いに来ていた。

袴「おま、A...！
良く私の前に顔を出せたな...！」

『え～？もしかして先輩...
まだあのこと根に持ってんですか？』

袴「当たり前だ！！お前のせいで私のベストジーニスト連続受賞が途絶えたんだ...それも何とも屈辱的な方法で...許し難い！！！」

『それ何年間言い続けるつもりですか～？』

袴「いつまでもだ！！！」

しゃりしゃり、とベッドの横の椅子に座ってリンゴを剥きながらベストジーニスト受賞の瞬間を思い出していると、「まだか」と声が掛かったので意識を戻し維先輩の口元に剥き終わったリンゴを持っていく。

袴「何だ、コレは」

『狼。先輩好きでしょ？』

袴「.....器用なモンだな」

『あ。今、照れたでしょ？』

袴「！て、照れてない」

『はい嘘～～』

袴「～～っ、そもそも何故毎日ジーンズを着用していた私ではなく一日だけ履いていたお前が...！」

また照れ隠しでぐちぐちと先程の続きを言ってくる維先輩に、はいはいと空返事をしながら今度は桃を剥いていく。美味しそうに熟れた桃だ。

『だから何度も言ってますけど俺のはたまたまなんですって。』

そう。たまたまコスチュームを洗濯している時に出動要請が掛かって、しょうがないから上半身裸にその辺にあったジーンズを履いて行ったら物珍しさからSNSで拡散されてベストジーニスト賞を受賞してしまった。ただそれだけ。

でも維先輩は認めてくれないんだよなぁ。
毎年毎年、「これを履け」って手紙付きで送られて来るジーンズの山を思い出し溜息を零す。

袴「...なあ、何で俺が送ったジーンズは履いてくれないんだ」

『...だって、そのジーンズを履いて、もし。維先輩に俺が負けたらライバル視してくれなくなるでしょう？』

袴「...？まぁ、そうなるか...？」

『俺はもうちょっと、維先輩の“ライバル”っていう特別枠に収まっておきたいんで。履いてあげません。』

そう言って、にこりと色気を含んだ微笑みを向けると、途端に顔を真っ赤にして俯く維先輩。

こういう反応がいちいち可愛いから、今のところ俺がジーンズを履く予定はまだ無い。

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