ミッドナイトの弟だからしょうがない【番外編】 (ページ1)

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01 幼少期編《１》ページ1

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【消太side】

「なぁ、おまえってほんとはおとうさんもおかあさんもいねぇんじゃねぇの？」

相「なっ...！い、いるよ！！」

「じゃあなんでいつも“がくげいかい”にだれもこねぇんだよ」

相「それは、しごとがいそがしくて...！」

「なんだよそれ。
おまえ、あいされてないんじゃないの？」

相「そんな...ことは...」

ない、とは言いきれないまま時間は過ぎてお迎えの時間になった。また、お母さんは来ない。

相「やっぱりぼく、あいされてないのかな...」

ぽつりと口から零れた自分の言葉に慌てて首を振って今日も寝ようとお昼寝用の毛布を引っ張り出す。
寝るのは好きだ。いちいち時計を確認してがっかりしなくて済むから。

毛布を敷き終わり、早速寝に入ろうところりと横に寝返りをうつと、目の前に顔があって「ヒッ！」と思わず悲鳴が漏れた。

相「な、なに？ぼく、なにかしたかな...」

『いいや？...おまえ、いまからねんの？』

相「うん。どうせおかあさん
さんじかんくらいしないとこないし...」

『そっか...でもさ、いまからねたらよるねれないんじゃねぇの？いっしょにあそんでまとうぜ！！』

相「えっ！あ、あそんでくれるの...？」

僕が不安げにそう尋ねると彼は不思議そうに首を傾げた後、満面の笑みで頷いてくれた。

嬉しくて、楽しくて、あっという間に時間は過ぎて
いつの間にかお母さんがお迎えに来てた。

相「おかあさん！！」

消太ママ「ごめんね消太！
今日も遅くなっちゃって...寂しかったよね？」

相「ううん！きょうはね！
...えっと、えっと...なまえきいてなかった！」

はっ！として急いでさっき遊んでた子の傍に駆け寄ると、ぼそりと彼が何かを呟いた。

『...なんだ、ちゃんとあいされてんじゃん。』

相「えっ？なに？なんていったの？」

『ん？なんでもねー！
じゃあおれもむかえがきたからいくよ。』

相「あっ...まって！きみのなまえは？
ぼくはしょうた！あいざわしょうた！」

『おれはたいようぐみのかやまA。
またあしたな、しょーた。』

相「！うんっ！ま、またね！Aくんっ！」

にこりと笑ってこちらに手を振り返して帰って行くAくんの後ろ姿を見ながら彼の名前を心の中で何度も繰り返す。Aくん。僕の初めての友達。

相「またあした、だって！」

相ママ「！ふふ、良かったわね」

憂鬱な幼稚園が初めて楽しみになった日だった。

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