検索窓
今日:1 hit、昨日:2 hit、合計:13,011 hit

2 F ページ3

それから俺と赤ずきんの女の子はあの花畑で会うようになった。

会えば女の子は俺に歌を聞かせてくれた。
色んな話をしてくれた。俺は人間の言葉が少しだけ分かるけど、女の子は俺達の言葉は分からないから俺は聞いてるだけだけど。
それでも楽しかった。
女の子の色んな表情が見られるのがとても嬉しい。
普通だったら多分、食べたいって気持ちが出てくるのかもしれない。だけど俺が女の子に対して思うのは「愛しい」という気持ちだった。

俺が人間だったら…俺はきっと「お嫁さんになってください」って言ってただろう。
もういっそ飼い犬でもいいから傍に居たい。
そんなことを思うようになっていた。


「わんこさん!こんにちは!!」
「わふっ」
「今日はね、私のお父さんも連れてきちゃったの!」
「わんっ」

この時の俺は「人間が危険だ」という意識なんてもう無くて、女の子のお父さんという人にもパタパタとしっぽを振ってしまっていたんだ。

「な、……コイツは犬じゃねぇっ!狼だ!」
「……え?」

よく分からないけど、女の子のお父さんは俺に向かって銃を向けてきた。
その時に思い出した。「人間に近づいては行けない」という事に。

「お前、娘を油断させて食べるつもりだったんだろ……卑しい狼め……殺してやる!」

ちがう…!俺はただ、女の子と仲良くなりたくて…
弁解しようとキャンキャン吠えても人間に俺の言葉が分かるはずもなく、威嚇されたと捉えた男はそのまま俺を銃で撃ち抜いた。

ドクドクと打たれたところから血が流れ出ていくのがわかる。
男は俺の足を掴むとそのまま近くの川に投げ捨てた。

薄れていく意識の中で最後に見たのは俺を蔑むように見つめる人間……

そして驚いたような顔をした女の子だった。


なんで……

俺が何をしたって言うんだ

俺はただ……人間を……女の子を……好きになっただけなのに……

3 F→←1 F



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (61 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
169人がお気に入り
設定タグ:藤北
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

やや子(プロフ) - またまた読み返してました。藤ヶ谷さん、みっくんをどうしていくんでしょうか…。みっくんに嫉妬とかしてほしいです!楽しみです。 (2021年9月15日 20時) (レス) id: 21deb2a54a (このIDを非表示/違反報告)
ぽんた(プロフ) - やや子さん» コメントありがとうございます!めっちゃ嬉しいです!!出会っちゃいました!!この後2人がどう変化していくか、是非見守ってやってください! (2021年8月1日 23時) (レス) id: 9c3dc41c13 (このIDを非表示/違反報告)
やや子(プロフ) - ぽんた様!度々すみません!みっくんの登場に胸が高鳴りました!ですが…出会ってしまったのですね…。この先が本当に本当に楽しみです。 (2021年7月24日 19時) (レス) id: 21deb2a54a (このIDを非表示/違反報告)
ぽんた(プロフ) - やや子さん» やや子さんコメントありがとうございます!表現力無さすぎマンなのでめちゃくちゃ嬉しいです……!!コメントたくさんいただけて本当に励みになってます!のんびり更新にはなると思いますが最後まで読んでいただけたら嬉しいです! (2021年7月23日 23時) (レス) id: 9c3dc41c13 (このIDを非表示/違反報告)
やや子(プロフ) - ぽんた様、本当に銀座カラーの狼藤ヶ谷くんに小説で会えるなんて夢みたいです!しかもその物語にはみっくんが登場なんて!ぽんた様の藤北小説愛は胸に響くものがあり、表現もとても大好きです!続きをゆっくりと心待ちにしております。 (2021年7月22日 22時) (レス) id: 21deb2a54a (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ぽんた | 作成日時:2021年7月22日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。