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「太輔〜英語の課題やった?」
「やった」
俺の隣に座っているコイツ…横尾渉は俺の友達らしい。
何も無い俺にもかろうじて友達はいるみたいだ。
「英語の佐々木、よく答え合わせで当ててくるからちゃんと課題やっとけよ。」
まるで俺が今まで存在していたかのようなセリフが自然と口から出てくる。それを違和感なく「そっかー」と渉は頷く。
「知らない」はずの事も当たり前のように「知っている」「初めて」の事も「初めてじゃない」ようにこなせる。なんだか不思議な感覚だった。
「今日の昼俺の友達も一緒でもいい?」
交友関係は広い方がいい。俺がこの世界に生きていくためにも。
俺はニッコリと笑顔を張りつけた。
「いいよ」
二限が終わって食堂に向かう。
今日は生姜焼き定食だ。
人間の食事はなんとも手が込んでいる。
俺が食べていた肉とは違う。火に焼かれて味付けされた状態で出されるのだ。
生の肉しか食べたことなかった俺は初めて調理された肉を食べた時、とても感動したし、めちゃくちゃ驚いた。もう目玉が飛び出るくらいに。
それと狼だった時は食べなかった野菜も食べるようになった。
草なんて……そう思って嫌々食べてみたけど案外野菜もわるくない。
獲物だったうさぎがもしゃもしゃと草を食べてるのもなんだかわかる気がしないでもなかった。
「太輔!こっちこっち!」
トレーに生姜焼き定食を乗せてキョロキョロすれば渉が手招きするのが見える。
横には見知らぬ男が2人。
なんだ。男かよ。
もしかしたら赤ずきんの生まれ変わりに会えるかもなんて期待したが、どうやら期待はずれだったようだ。
まぁ友達になっておくに越したことはない。
「初めまして藤ヶ谷です。よろしく」
ニッコリと人の良さそうな笑顔で挨拶すれば、相手も人懐っこそうな笑顔を浮かべた。
「俺、二階堂 高嗣!ねえ!ガヤってよんでいいー?!」
「あ、ずるい!俺もガヤさんって呼びたい!俺千賀 健永!よろしく!」
騒がしい2人に、狼だった時の2匹の弟達を思い出す。
こんな感じにキャンキャン吠えながら獲物をねだってたっけな
2人に懐かしい思いを抱きながら「よろしく」と微笑んだ。
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やや子(プロフ) - またまた読み返してました。藤ヶ谷さん、みっくんをどうしていくんでしょうか…。みっくんに嫉妬とかしてほしいです!楽しみです。 (2021年9月15日 20時) (レス) id: 21deb2a54a (このIDを非表示/違反報告)
ぽんた(プロフ) - やや子さん» コメントありがとうございます!めっちゃ嬉しいです!!出会っちゃいました!!この後2人がどう変化していくか、是非見守ってやってください! (2021年8月1日 23時) (レス) id: 9c3dc41c13 (このIDを非表示/違反報告)
やや子(プロフ) - ぽんた様!度々すみません!みっくんの登場に胸が高鳴りました!ですが…出会ってしまったのですね…。この先が本当に本当に楽しみです。 (2021年7月24日 19時) (レス) id: 21deb2a54a (このIDを非表示/違反報告)
ぽんた(プロフ) - やや子さん» やや子さんコメントありがとうございます!表現力無さすぎマンなのでめちゃくちゃ嬉しいです……!!コメントたくさんいただけて本当に励みになってます!のんびり更新にはなると思いますが最後まで読んでいただけたら嬉しいです! (2021年7月23日 23時) (レス) id: 9c3dc41c13 (このIDを非表示/違反報告)
やや子(プロフ) - ぽんた様、本当に銀座カラーの狼藤ヶ谷くんに小説で会えるなんて夢みたいです!しかもその物語にはみっくんが登場なんて!ぽんた様の藤北小説愛は胸に響くものがあり、表現もとても大好きです!続きをゆっくりと心待ちにしております。 (2021年7月22日 22時) (レス) id: 21deb2a54a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぽんた | 作成日時:2021年7月22日 0時