心配。03 ページ49
「ごめん、」
伊「まじ、油断ならねぇ。
この酔っ払い。
ほら、帰るよ。」
「あ、はい。」
慌てて薮くんにお布団をかけて、
伊野尾くんの背中を追いかけた。
「約束通り、寝てくださいね。」
伊「ふたりっきり、なのに？」
「はい。」
伊「けち。」
そう言いながらも大人しく寝始めて、
なんだか初めて伊野尾くんを
乗せた時のことを思い出す。
あの時はやけに緊張して、
こんな風になれるなんて考えてもなかった。
伊野尾くんが、
私を選んでくれたのが、
今でも夢なんじゃないかと思う。
「着きましたよ。」
ぽっかりと口を開けて寝てる姿も
かわいいからずるい。
後部座席に移動して、
伊野尾くんの隣に座る。
「伊野尾くん、、、」
伊「んー、、、」
「慧くん、、」
そう呼ぶとぱっちり目が開いた。
伊「Aー」
「うん、着い、」
ぎゅむー、、、
何かにしがみつくみたいに
抱きしめられて、
伊野尾くんの香りでいっぱいになる。
伊「すきぃー。」
突然放たれた言葉と、
くふふと笑う振動に、
胸がぎゅーってなって、
なんだか目頭が熱くなる。
「あ、あの、伊野尾くん、
お家にね、」
伊「着いちゃったね。」
「早く帰って寝ないと。」
伊「ねぇ、なんか涙声じゃない？」
するどい。
「そんなことないよ、」
顔を覗き込まれて思わず逸らす。
伊「、目、赤い。どしたの？」
「う、、、なんかね、、、
感極まっちゃって。」
伊「え、どの辺で？」
「、、、すきって。」
伊「かわい。」
今度はふんわりと抱きしめる。
この人は、
何通りのハグを持ってるんだろう、、
「伊野尾くん。」
伊「うん。」
「ありがとう。」
伊「ん？」
「ううん。明日、行くね。」
伊「うん、今日は大人しく帰ります。」
「おやすみなさい。」
伊「うん。」
中に入って行くのを見送って、
車を走らせた。
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作者名：haru
| 作成日時：2018年4月26日 23時
