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温もりが欲しい日。 ページ49

伊「Aー、
こっち来てー?」

「んー、もうちょっと。」

キッチンにいる私を、
ベッドでぬくぬくしながら呼ぶ。

今をときめくアイドル。

その特徴的な声は、
テレビと変わらない。

食器を片付けてベッドに近づく。

「もう寝るの?」

伊「うん〜。

温もりください。」

「え?」

引っ張られてバランスを崩して、
するりと入らされた慧の隣。

「エプロン、
つけたままなんだけど。」

伊「脱がしてあげよっか。」

「外してあげよっか、
って言いなよ。」

いひひ、と、
目尻にシワを作って笑う。

ぁあ、好きだな。

この顔。

なんて、じっと慧の顔を見たら、
当たり前のように唇が降って来た。

伊「ちゅ。笑」

そう言いながら、
エプロンの紐をするりと解いて、
ぽいっと外に投げた。

こういうところは、
すごく器用。

伊「これで、へーき。」

ふんわりと、
まるでぬいぐるみを抱くみたいに、
私をまるごと抱きしめた。

伊「あったけぇ。」

「ね、慧。」

伊「ん?」

「大丈夫?」

最近、忙しくて、
もともとはマイペースな慧が、
自分のペースとは違う
過密なスケジュールをこなすことが、
ストレスになってないか心配だった。

伊「大丈夫じゃねぇ。

疲れたよ〜。」

「だよね。」

伊「今、自分がどこにいんのか、
わかんなくなる。」

「うん。」

絶対に、
仕事の弱音を吐かない慧が、
たまに見せてくれる本音が、
私を特別にしてくれる。

伊「だから、
Aがいつもここにいてくれて、
それだけで、

安心する。」

「何もできないけど、、、

私は慧の味方だからね。」

伊「この温もりだけで、

じゅーぶんだ。」

ぎゅーっと、
両脚を私に巻きつけて、
全部が慧に包まれる。

「く、苦しい。笑」

伊「それが、恋だよ。」

「違うよ。笑」

くすくすと笑う振動と、
慧の温もりがどんどん移ってきて、
ぬくぬく眠くなってくる。

伊「このまま寝そう〜。」

「寝てもいいよ?」

伊「じゃあお言葉に甘えて。」

今まで抱きしめていた慧が、
私に抱きつくように体制を変えて、
胸に顔を埋めた。

伊「幸せぇ〜」

更に体温が上がって行く慧の髪を
ふわふわと撫でると、
すやすやと眠りに落ちていった。

「慧、ずっとここにいてね。」

この温もりは、
ずっと私だけのもの。

湧き上がる小さな独占欲を込めて、
慧をきゅっと抱きしめた。

あとがき。作者です→←小さな幸せが欲しい日。02



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haru(プロフ) - 姫さん» ありがとうございます〜!既に、読んでくれてるなんて、望み通りです。笑 新作、明日には上げれる予定です〜もうしばしお待ちくださいね(^_-) (2017年3月5日 22時) (レス) id: 740a57c0ee (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - お疲れさまでした〜、、、いや、、もう、、なんか、、すでに読み返してます(笑)本当に大好きで、更新が楽しみでした(^ ^) 新作お披露目、楽しみにしております(^^)/ (2017年3月5日 0時) (レス) id: 2c2323ddc3 (このIDを非表示/違反報告)
haru(プロフ) - 彩ネコさん» お役に立ててよかったです(^^) (2017年1月27日 22時) (レス) id: 740a57c0ee (このIDを非表示/違反報告)
彩ネコ(プロフ) - いえいえ、むしろ私的には創作の参考になります (2017年1月26日 22時) (レス) id: bccb895132 (このIDを非表示/違反報告)
haru(プロフ) - 彩ネコさん» コメントありがとうございます。ちょっとぶっ飛んでましたかね、、、。笑 (2017年1月26日 22時) (レス) id: 740a57c0ee (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:haru | 作成日時:2016年12月26日 22時

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