【即興】ノリと勢いで書く短編集 (ページ10)

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即興とおページ10

【環境音】パソコンを操作する音
【あったもの】４０数台のパソコン

＊

課題のための補習で集められた生徒たちは
憂鬱そうな顔をしながら、カチカチとマウスを操作したり
キーボードをたたいたりしている。

かくいう僕もその一人で、大絶賛補習中だった。

別に課題を出し忘れたわけでもないのだが、
僕には点数が足りていなかった。

「ってかさぁ、この前さ～
新しくできたファミレス行ってみたんだけど
何あのワイン～ちょぉまずぅい」

………お前、酒飲んでるのかよ！？

「ばっかだなぁ、美亜は～！
ワインはちゃんとしたとこで飲まなきゃダメだってｗ」

もしかしたら僕は、まずい場所にいるのかもしれない。

補習がどうとかじゃなくて、ここに集められたメンツに問題があるのだ。

課題を提出していない時点で相当やばい連中だということはわかる。

僕の言う「まずい」っていうのは
ここにいるメンツの中で、飲酒したことが、というよりも
つい先日も飲酒をしていたような人が何人かいるということだ。

どう考えても僕とは正反対の人間だ。
確かに僕も成績はひどいけど、ファミレスでワインなんて飲まないし…。

「てか美亜～！
ワインワインって言うけど、それってただのココアでしょ？
美亜まだ中二病克服してないの？」

「ふっ・・・風が泣いている………」

うん…頭の中がやばい人だったみたいだ。
なんにせよ、ここは「まずい」。

僕は黙って席を立ちあがり、こっそりとPC室を抜け出して
猛ダッシュで階段を駆け下り靴を履き替え駅に向かって走っていったのだった。